空を見上げても、何も起こらない。37コメント

1 秋沙 id:Nx9UAc/0

2011-05-13(金) 20:56:01 [削除依頼]
その日の空は無限に広がる蒼色と白い雲と――“余計な物体”があった。
  • 18 秋沙 id:nDb3gGo1

    2011-05-21(土) 21:27:49 [削除依頼]
    二章 嘘泣きする人間は性格が悪い
    文芸部に強制入部させられて一週間。
    俺の日常は九十九まふゆによって、妨害されていた。

    「おはよ、成田君」

    「お前の体内時計は狂ってるな」

    「そうかな?」

    眠そうな顔で話し掛けて来る九十九を放って、俺は教室を出る。

    グイッ

    誰かに腕を掴まれた。

    「あー、もう、鬱陶しいんだよっ」

    振り返ると、泣きそうな顔をしている妹がいた。
    九十九じゃなかったのか。

    「あ、悪い」

    「ご、ごめんなさい。鬱陶しかったですね」

    「い、嫌、鬱陶しかったのはコイツで……っていねーし」

    教室を見渡して見ると、いるのは俺と妹だけだった。

    「最近、当麻君は九十九さんに振り回されてるみたいですけど」

    「ああ」

    「それに九十九さんが入ってる文芸部にも入部したとか」

    「あれは勝手に入ってて……」

    「だったら、犯人は九十九さんです」

    「俺もそうだと思うが、証拠がない」

    「当麻君は知らないかも知れませんが、この高校の学長は九十九さんのお祖父さん何です」

    ……え?

    「権力はありますし、九十九さんはお祖父さんに頼んだんだと思います」

    「そうか。な、なあ、何でわざわざそんな事を俺に?」

    「えっ、えっと、し、親切心?い、いえ、嫌、何と言うか……私、部活行きます。当麻君は別に部活に行きたくなかったら、行かなくても良いと思います。じゃあ」

    あたふたしながら、妹は教室から出て行ってしまった。
  • 19 秋沙 id:nDb3gGo1

    2011-05-21(土) 21:35:12 [削除依頼]
    「優しい妹さんだねー?」

    誰もいないはずなのに声がした。
    振り返ると、教室の入り口に九十九が微笑んで立っていた。

    「お前、もう行ったんじゃなかったのか?」

    「ん、行ってないよ。廊下で聞いてた」

    「じゃあ、妹が言ってた事は本当何だな?」

    「本当だよ。そして、文芸部への退部は出来ない」

    「別に生徒会に幽霊部員はいねーって事が分かれば良いんだろ?」

    「さぁ?そんなの知らないよ」

    「は?」

    「あれ、嘘だもん」

    あっさりと、九十九は言った。

    「殴って良いか?」

    「くすくす、信じる方が悪いんじゃない?」

    つくづく、コイツの性格の悪いさはム.カつく。
  • 20 秋沙 id:witgeCz/

    2011-05-22(日) 09:27:58 [削除依頼]
    結局、俺は文芸部に通わせられる。

    「ねぇ、たまには文芸部らしい事をして見たいんだけど。私、これでも文学少女だし」

    「嘘、吐かない方が良いと思うが」

    「何が?」

    「文学少女じゃなくて、自称文学少女だろ?」

    俺は溜め息を吐く。

    「そんな事ないよ?本、好きだよ」

    コイツが本を読んでいる所を全く見た事がない。

    「で、文芸部らしい事って何なんだ?」

    とっとと、終わらせて帰りたい。

    「好きな本の紹介」

    「お前は小学校の図書委員か」

    「そうかな?我ながら、結構普通だと思うけど」

    ギィィ

    九十九は思い切りに背凭れに凭れる。
    椅子は苦しそうに軋む。

    「やっぱり、童話で好きなのはシンデレラかな?別名、灰かぶり姫」

    「本って、童話かよ」

    「何かシンデレラの腹黒さが良いんだよね」

    「……何処にシンデレラが腹黒って書いてるんだ?」

    「わざとガラスの靴を落として行った所」

    あれ、わざとなのか?

    「私だったら、最早舞踏会も行ってないかも。どうせ、身分が違い過ぎるんだし、諦めた方が速いでしょ?」

    「メガティブだな」

    「最初から全てが上手く行くなんて事、絶対にないよ」

    九十九は何処か寂しげな表情で言った。
  • 21 秋沙 id:witgeCz/

    2011-05-22(日) 09:41:22 [削除依頼]
    「良いよな、お前。まふまふと同じ部活でさ」

    ある日、水野はふと俺を見るなり言った。

    「まふまふ、ガード固いし、心なしか俺には厳しいし。文芸部に入りたいのに入部届け、拒否られるし」

    「拒否られる?」

    「そう。せっかく、入ろうと思ったのに受け取り却下された」

    ガンガンと、水野は机に頭をぶつける。

    「何処が気に食わなかったんだ?伊吹ちゃんにも、避けられてるし」

    「運、悪いだけじゃね?」

    「運の悪さで此処まで来るか?有り得ないだろ。あ、でも、伊吹ちゃんのメアドは聞き出せる事に成功したんだけどな」

    「サラッと、重要な事言ったな、今」

    「良いだろ?伊吹ちゃんを口説こうか、如何しようが。お前はシスコンじゃないんだし」

    「将来、お兄さんと呼ばれたら、絶対引く」

    「え、俺が伊吹ちゃんと結婚するって事?凄い急展開だな。でも、良いな。それ」

    目をキラキラさせて、水野は言った。

    「伊吹ちゃん、あの調子だと誰とも付き合った事ないんだろうな。多分、これから先も」

    チラッと、水野が俺を見てくる。

    「何の予想だよ?」

    「絶対に不可能だもんな。結婚、出来ねーし」

    その時は水野が言っている意味がよく分からなかった。
  • 22 秋沙 id:.WR7MkY/

    2011-05-26(木) 13:28:59 [削除依頼]
    桜は完全に散った。鮮やかな花びらが消え去り、今は緑の葉っぱが出て来ていた。ようやく、春も終わりだ、と俺は安堵する。

    「おはよ、成田君……ふあー」

    校門を潜ると、後ろから九十九が話し掛けて来た。
    そういや、コイツ、日頃は早くに来てなかったか?

    「ふあーー」

    九十九は大きく欠伸をする。

    「眠い……」

    ゴシゴシと、右手で目を擦る。

    「お前、何時に寝てんの?」

    「覚えてないな……何時だっけ?」

    俺に聞くなよ。

    「あ、成田君、良かったね。桜が散って」

    「何がだよ?」

    「私は桜、如何でも良いな。好きでも嫌いでもない。空は好きだけど」

    ぼんやりとした目で、九十九は無限に広がる蒼い空を見上げた。
  • 23 秋沙 id:.WR7MkY/

    2011-05-26(木) 13:41:12 [削除依頼]
    「此処を九十九」

    授業中、九十九が当てられた。
    何時もながら、机に突っ伏して寝ていて、教師が何で寝ている奴に当てるのかが分からなかった。

    「おい、起きろ」

    バシッ

    教師は持っていた教科書で、九十九の頭を躊躇なく叩いた。生徒達の視線は叩かれた九十九に集まった。

    「……もう、昼?」

    「何、寝惚けた事を言ってるんだ。今はまだ三時間目だ」

    「それで、何?」

    教師にタメ口を九十九は平気で使う。

    「この問題を解け」

    「ふんふん、今、学校は此処をやってるんだねー」

    九十九は軽やかな足取りで、教壇に立ち白いチョークでスラスラと答えを書く。

    「……正解だ」

    悔しそうに教師は言った。

    「先生、」

    「何だ?」

    「保健室、行って来る」

    「……勝手にしろ」

    絶対に先生から嫌われただろうな。
    コイツがした行為は『あんたの授業を聞かなくても分かるんだよ』って遠回しで言った様な物だ。
    それにしても、アイツ、無駄に頭良かったのか。
  • 24 秋沙 id:.WR7MkY/

    2011-05-26(木) 13:50:20 [削除依頼]
    登場人物紹介 其の壱
    九十九まふゆ
    高校1年生。
    文芸部。
    12月13日生まれ。
    AB型。
    趣味 寝る事。
    成績 学年3位以内。
    性格 マイペース。
    好きな物 チョコレート菓子、保健室のベット。
    嫌いな物 運動。
  • 25 秋沙 id:.WR7MkY/

    2011-05-26(木) 13:58:01 [削除依頼]
    其の弐
    成田当麻
    高校1年生。
    自称帰宅部(文芸部)。
    10月10日生まれ。
    A型。
    趣味 テレビを見る事。
    成績 学年十位以内。
    性格 何事にも、本気にならない。
    好きな物 静かな場所。
    嫌いな物 自己中の奴。
  • 26 秋沙 id:.WR7MkY/

    2011-05-26(木) 14:05:26 [削除依頼]
    其の参
    成田伊吹
    高校1年生。
    美術部。
    3月3日生まれ。
    A型。
    趣味 読書。
    成績 学年5位以内。
    性格 消極的。
    好きな物 当麻、紅茶。
    嫌いな物 人前に立つ事、裏切り行為。
  • 27 秋沙 id:wFbimJu/

    2011-05-27(金) 14:30:44 [削除依頼]
    その後、放課後まで九十九が教室に戻って来る事はなかった。

    「まふまふ、カッケーよなー」

    何時も通り、こんな事を言うのは見なくても分かる。

    「ホント、惚れ直した。完全にまふまふは二次元から来た奴だよな」

    無視して置こう。

    「それにしても、まふまふ、まだ保健室で寝てんのかな?よし、此処は王子の俺が姫を起こしに」

    「うるせーよっ!!とっとと、行けよ。それと、お前、完璧に変な人だ」

    「おお……成田がキレた」

    「た、確かに煩いです。水野君」

    気付けば、水野の席の横には妹がいた。

    「伊吹ちゃんまで……なあなあ、皆でまふまふを起こしに行かね?」

    開き直ったのか、水野は机から身を乗り出して言った。

    「べ、別に良いですけど、九十九さん、もう帰ったんじゃないですか?」

    「それは俺も思ったんだけど、鞄、教室に置きっぱだし」

    確かに九十九の机にはスクバが掛かっていた。

    「そういや、伊吹ちゃん、部活は?」

    「美術部は特に絶対に行かなきゃいけない事はあんまりないんです。自由な部活なので」

    「そっか。絵、描くだけだもんね」

    描くだけではないだろうけど。

    「水野君は何か部活に入ってませんでした?」

    「ああ。生物部にな。ま、幽霊部員化してるけど」

    暢気そうに水野は笑う。

    「さて、行きますか」

    そんなこんなで、水野の思いつきで、俺等は保健室に行く事になった。
  • 28 秋沙 id:wFbimJu/

    2011-05-27(金) 14:44:45 [削除依頼]
    「俺、保健室に行くの初めてだ」

    現在、保健室のドアの前。
    さっさと、開けて入れば良いのに水野は躊躇していた。

    「あの、開けないんですか?」

    「ハイテンションでガラッと開けて、誰もいなかったら虚しいし」

    「普通に開ければ良いだろ?」

    ガラガラッ

    俺はドアを開ける。
    中には消毒液の臭いが微かにするいかにも典型的な保健室が広がっていた。

    「この学校の保健室って、こんな風になってるんだなー」

    あれだけ入るのに躊躇してたくせにズカズカと水野は入る。

    「ベットベット」

    カラカラ

    ベットのカーテンを水野が捲ると、ベットの上には布団を大きく被って寝ている奴がいた。
    掛け布団から、少しはみ出た黒髪から、恐らく九十九だろう。

    「まだ寝てたんですね」

    妹は呆然と九十九を見る。
    確かに妹は土日でも、平日と同じ時間に起きる規則正しい生活をしているから、コイツが有り得ないんだろう。

    「おっはよー、まふまふ」

    ハイテンションで、水野は掛け布団を退ける。

    「……」

    九十九はうつ伏せで寝ていた。
    動かないし、寝息も聞こえないから、まるで死.体の様だ。

    「まふまふ、おはよー」

    性格が悪いのか、水野は九十九の耳元で叫ぶ。

    「……ん、誰?」

    寝起きの虚ろな目で水野を見て、九十九は呟いた。

    それから、水野は保健室の片隅で体育座りをして落ち込んでいた。
  • 29 秋沙 id:wFbimJu/

    2011-05-27(金) 15:19:05 [削除依頼]
    間章
    「お兄さんの事、好きなんでしょ?」
    そう、あっさりと見破られた時、私は心臓が止まりそうになった。
    その動揺は完璧にはいそうですと言っている様な物で、私の弱点を握った水野日向はきっと私を脅してイジメるんだろうと思ってた。
    けど、水野君は応援すると言った。

    「おはよう、伊吹ちゃん」

    見破られた次の日、笑顔で挨拶して来た水野君に私はぎこちなく挨拶し返す。

    「お、おはようございます」

    「今日、英語の小テストがある様な気がするなー」

    「な、何でですか?弱点を掴んだら、それで脅すとか、そう言う事、普通しません?」

    「しないって。大体、伊吹ちゃんを脅した所で何の得があるんだって話。それに俺、そんな悪キャラじゃないしな」

    少しでも、脅す事を考えなかった水野君は有り得なくて、私は水野君の事を調べて見る事にした。
    聞いた所、

    「え、水野?ああ、ノリが良くて良い奴だな」

    「うん。水野君とは同じ中学だったよ。優しいし、面白いし、クラスの人気者で」

    「そういやさ、水野って、誰も付き合わなかったんだよな」

    三人目の人に聞いた時、興味深い話が聞けた。

    「水野、直ぐに女子に惚れる奴で、偶々、その時水野が惚れた奴から告白して来たわけ。普通なら、付き合うのに水野はサラッとフリやがった」

    聞いた話で考えて見ると、水野君は優しくて面白くて、誰にも本気にならない人になる。
  • 30 秋沙 id:E5qkXgG0

    2011-05-27(金) 21:05:54 [削除依頼]
    「伊吹ちゃん、俺の事を調べて如何すんの?」

    ビクッ

    昼休み、お箸で掴んでいたミニトマトを落としそうになる。

    「もしかして、俺に興味持ってくれた?」

    私の隣の席(昼休みだから空席)に座って、水野君は嬉しそうに言って来た。

    「きょ、興味とかではないんですけど。ちょっと、水野君って普通の人と変わってるから」

    「なるほどねー」

    「思ったんですけど、水野君って猫被ってます?」

    「……」

    「え……?」

    何気なくそう言うと、さっきまで微笑んでいた水野君の顔から笑みが消えた。

    「み、水野君?どうかしました?」

    「……嫌、何でもねーよ」

    図星、なんだ。
    何だか、あまり関わらない方が良い気がした。
  • 31 秋沙 id:E5qkXgG0

    2011-05-27(金) 21:44:19 [削除依頼]
    三章 自称文学少女は保健室の白雪姫
    学校の七不思議と言う物はどの学校にもある。中学の頃は夜中に音楽室のピアノが勝手に鳴るとか、そんなベタな奴だったが、この学校の七不思議はちょっと特殊だ。

    「保健室には白雪姫が眠っているんだってさ」

    「何だよ……そのメルヘンな七不思議」

    「マジだよ。生物部の部長から聞いたし」

    「お前、幽霊部員化してるんじゃなかったか?」

    「化だから、まだ幽霊部員にはなってないんだって」

    俺は溜め息を吐く。

    「あ、おはよー、伊吹ちゃん」

    水野は教室に入って来た妹に挨拶する。
    そう言えば、コイツ、毎朝してる様な気がする。

    「おはようございます」

    妹は無理矢理笑おうとしたんだろうが、引き攣った笑みだった。

    「無理して笑う事ねーから。ってか、もうまふまふ来てるしっ」

    「今更、気付いたのか?お前が来た時からいたぞ」

    「成田は気付いていたのかよ。まふまふって、影薄いよな」

    「あの、人の悪口は人の前では言わない方が良いですよ」

    ガタッと、気付けば九十九は起きていた。
  • 32 秋沙 id:suOMO8B/

    2011-05-29(日) 13:09:03 [削除依頼]
    「水野日向」

    九十九は虚ろな目で、水野を見た。

    「は、はい。何?」

    「影が薄いと言うのは比喩的表現なの?」

    水野は呆然とした。

    「よく分からない造語はあまり作らない方が良いと思うよ。あ、成田君、いたんだ」

    「……俺、影薄いのか」

    「そ、そんな事ないですよ。当麻君が影薄かったら、私の方がもっとも影薄いですから」

    「あっ、そう言えば、今日は物理の小テストじゃね?」

    他愛のない会話をしていると、水野が思い出したかの様に言った。

    「今更、思い出したのか」

    「え、成田は覚えてたわけ?あー、自信ないわ」

    「成田妹」

    九十九はクルッと、妹の方を向いた。

    「今日は移動教室、ある?」

    「あ、はい。あります。三時間目と五時間目です」

    「そう」

    九十九は再び机に突っ伏した。
    何でそんな事を質問したんだろうか。
  • 33 秋沙 id:suOMO8B/

    2011-05-29(日) 13:40:26 [削除依頼]
    「友達関係って、何であるんだろうねー」

    放課後、文芸部部室で九十九は呟く様に行った。何時もながら、クルクル回る椅子に座り、クルクルと回る。
    普通なら、絶対に目が回る所だ。

    「お前の三半規管の良さは褒めてやるが、その呟きの内容は曖昧だな」

    「よくよく考えたら、人との付き合いがなかったら、戦争も、ケンカも起こらない事ない?」

    「確かにそうだが」

    「無意味何だよね。本人がホントに人と仲良くしたかったらそれで良いんだけど、水野日向みたいな人は如何かなって」

    やっぱり、コイツの言う事にはついて行けない。

    「それにしても、暇だねー」

    「帰って良いか?」

    「良いよ。今日は何か雨降りそうだし」

    それから十分後、見事に雨が降り出した。
  • 34 秋沙 id:hxKNC1r1

    2011-05-30(月) 18:46:45 [削除依頼]
    天気予報は当てにならない。
    まあ、当てにしている方が悪いのかも知れないが。
    よく鞄を頭の上にやって、雨の中を走って帰る奴がいるが、生憎今の俺には走る気力がない。
    ビニール傘を買おうとは思ったが、家には大量にビニール傘がある。お金の無駄使いだ。

    「くすくす、ずぶ濡れ、大変だねー?」

    さっき……ついさっき、学校で聞いた声がした。

    「成田君、傘持ってなかったし、もしかしたらと思ったら当たったね。傘、忘れたんだ?」

    振り返ると、同じくずぶ濡れで微笑んでいる九十九がいた。

    「お前も忘れたんだろ?」

    「ううん。持ってるよ」

    スクバから、九十九は黒の折り畳み傘を取り出す。

    「持ってるなら、差せよ。わざと濡れるとか意味分からねー」

    「何か差すのめんどくさいんだよ。まあ、成田君が差してくれるなら、ついでに成田君の家まで行ってあげるけど」

    「結構だ」

    俺は九十九を置いて歩き出したが、後ろからはパシャパシャと足音がしていた。
  • 35 秋沙 id:hxKNC1r1

    2011-05-30(月) 19:00:16 [削除依頼]
    「おい、ストーカー」

    「何?ストーカー被害者さん」

    「何時までついて来るつもりだ?大体、お前が傘持ってるんだから、とっとと差して帰れよ」

    「……」

    つく……嫌、ストーカーからの返事はなかった。
    それにもう後ろから足音もしない。
    諦めたか。
    一応、確認の為に振り返る。

    「…………、」

    開いた黒の折り畳み傘が地面に置いてあった。
    これはさっき九十九が取り出してた奴だ。
    俺は傘を拾う。
    アイツの真意がよく分からなかった。
  • 36 秋沙 id:xY4onoV0

    2011-06-01(水) 20:42:05 [削除依頼]
    次の日、九十九は机に突っ伏していなかった。

    「先生に聞いたら、まふまふは風邪で休んだってさ。多分、昨日傘忘れて、ずぶ濡れになったんだろうな。成田、お見舞い行かね?」

    「一人で行け」

    「九十九さんが休むなんて、よっぽどの風邪何ですね」

    「何で?伊吹ちゃん」

    「……えっと、九十九さんって、風邪引いてても学校に来てたので」

    「へえー、そうなんだ」

    「授業中、咳が煩くて先生に怒られてましたけど」

    「成田さーん、先生が呼んでるよ」

    教室の入り口で、同じクラスの女子が言った。

    「あ、はい」

    妹は教室から出て行った。

    「お前、アイツに何かした?」

    さっきから思ってた事を水野に聞くと、盛大にギクリと肩を震わせた。

    「正直者過ぎるだろ」

    「べ、別に?何も?」

    白々しく見えて来る。

    「ってか、結構、成田って伊吹ちゃんの事見てるよな。これはもしかすると、脈あり?」

    「何、言ってるのかが分からないんだが」

    「まあまあ……さてと、俺はちょっと旅に行って来るとするか」

    水野は教室から出て行った。
    上手く丸め込まれた気もするが。
  • 37 秋沙 id:xY4onoV0

    2011-06-01(水) 21:15:46 [削除依頼]
    それから、一週間、九十九は欠席していた。
    流石に風邪を拗らせて、肺炎になって入院まではしてないだろうが、あまりにも長過ぎる。
    それと共に少しの罪悪感があった。

    「まふまふの家の住所、やっと教えて貰った。何でか、先生、教えてくれなくてさー」

    「当たり前だ」

    「一緒に行かね?あ、伊吹ちゃんも」

    本を読んでいた妹は顔を上げて、水野を睨む。
    妹にしては珍しい事だ。

    「行きません」

    冷たい声でそう言い、妹は再び本を読み始めた。

    「成田は?」

    「返す物あるし、行くわ」

    「……や、やっぱり、私も行きます」

    妹が椅子から立ち上がり、こっちまで聞こえる声で言った。

    「じゃあ、何時もの三人で」

    何気なく窓の外を見る。
    外はあの日と同じ雨だった。
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