静かに雨は降る5コメント

1 yyy id:/gANRnK/

2011-05-11(水) 17:11:25 [削除依頼]
ワード整理してたらでてきました。
いつ書いたのかも覚えてないし途中までしかなかったけど、書いてみます。
  • 2 yyy id:/gANRnK/

    2011-05-11(水) 17:11:44 [削除依頼]

     かじかむ両手を擦り合わせながら、歩道の端に立った。指先がひどく乾いている。からからの指紋を指の腹で拭った。
     冬の朝が好きだった。重苦しくなくて、優しすぎなくて、惰性や軽薄さがなく、距離感がある。しかし完璧ではない。何か物足りないものがあって、冬の朝が切ないと言う人は、その物足りなさに寂寥感を覚えるのだと思う。風が冷たく吹いて、私の首筋に触れた。
     朝七時。商店街はまだ静かだ。私はこの静けさにそっと溶けたいと思う。恐怖に慄くこともなく、ただ一定の揺らぐことない感情を持ち合わせて、煩わしさを感じさせない程度に誰かの首筋に触れることができるような静けさに。
     一般的に、自分にないものを持っている人に対しては羨望や妬みを覚える。地位や名誉や容姿を人は欲しがるものだけど、私はそういう一切のものを兼ね揃える必要がないと思う。私は何もいらなかった。
     自分にあるものを持っていない人に対して、私は恐怖しか覚えない。自分より不自由な人間が生きていることにぞっとする。なぜだろう、私は劣っていることに優越感を持っている。出来損ないの自分がとても愛おしい。それが私の求めている人間らしさなのかもしれなかった。
     私はたぶん、性格がどこか破綻している。美しいものを素直に美しいと思えないし、人の笑顔の裏には邪なものが含まれていると考えてしまう。そんな歪曲した性格を、私は密かに誇っていた。しかしそれを人から認められたいとは思わない。私のことは、私自身が認めていればいい。
     桃子の足を初めて見たとき、醜いと思った。同時に、恐ろしくなった。桃子の両足は太腿の部分が内側にひどく歪んでいて、ゆっくり、しかも杖で支えながらではないと歩けない。どうしてあんな風にしか生きられないのだろうと、いじらしさよりももっと悍ましい感情が全身に駆け巡った。同情を誘うような醜さ、それが怖かったのだ。しかしそのときの私を支配していたのは、恐怖だけではなかった。私は桃子の不自由で醜い足に嫉妬していた。自分よりも劣っている体を持つ桃子が憎くて、底から沸々とする妬みを隠すように私は恐怖をひたすら覚えていたのだった。
  • 3 yyy id:UMwcn2r/

    2011-05-29(日) 16:39:34 [削除依頼]

     毎年、冬がくると私は早く起きて家の近所を歩く。それは幼いころからの恒例だった。ただ歩いて、皮膚が冷たくなって体の芯が温まるころに家路につく。ただそれだけの習慣だったが、今年は桃子がいた。小さな公園で、いつも男性と二人で歩いている彼女を見ていた。無骨でたどたどしい歩き方をする彼女に、私の目は毎朝釘付けになっていた。たぶん、彼女はすぐに私の視線に気づいたのだと思う。歩くのを一時中断してまで、公園の外から、遠巻きにだが、食い入るように自分のことを凝視している私に。
     ある日、彼女から話しかけられた。彼女は公園の入り口で私を待ち伏せていた。右手に体を支えるための杖、左肩に、いつもいる男性が静かに寄り添って立っていた。
    「ねえ、どうしていつもそんなに私を見てるの?」
     突然そう言われて、私は口が開けなかった。ずっと遠くから見ていただけの彼女が近くにいて、そしてその醜い両足で体を支えながら私を待っていたという事実。私は何も言えなかった。彼女の両足に、恐怖、そして嫉妬まで覚えていた私が、何を言えるだろう。
    「私のことを見てくる人なんてたくさんいるけど、あなたほど熱心に見られたことはなかったわ」
     笑いながら彼女は言った。嫌味には聞こえなかった。彼女の笑い方があまりにも柔らかかったのだ。その彼女の笑顔と醜い足はひどくアンバランスで、上半身と下半身、もしかしたらどちらかが、彼女のものではないのではないかと思った。取って付けたような付属品のようだったのだ。
    「あ、ごめんなさい。今の言い方、悪意はないのよ、決して。ただ無性にあなたのことが気になって」
    「私の方こそ、悪意に聞こえるかもしれないけど、その足に嫉妬していたの」
     そう言っても彼女は表情を崩さなかった。かわりに、となりの男性の眉が歪んだ。しかし彼は何も言わなかった。
    「ありがとう。私、けっこうこの足気に入ってるのよ」
     あっけらかんと言う彼女のことを、私は自分よりも優れた人間なのだと感じた、だから私は安心して彼女に近づくことができたのだ。私は健常な両足を持っているが、彼女のような人間性を持ち合わせていない。
    「ねえ、あなたみたいな人、初めて。よかったら友だちにならない」
     彼女に言われて、私は何も考えずに頷いていた。
  • 4 yyy id:SuBItqh.

    2011-06-13(月) 22:30:51 [削除依頼]

     公園のベンチに、私たちは座っていた。真ん中に桃子がいた。
    「私、桃子っていうの。で、こっちが弟の瑞樹」
     彼女に紹介された瑞樹という男性はぺこりと頭を下げた。私も軽く頭を下げ、
    「私は陽子よ。斜陽の陽」
     ちょうど太宰の「斜陽」を読んでいたところだったので、そう言った。
    「いくつ?」
    「二十三」
    「本当? 一緒だ」
     桃子は何だか嬉しそうだった。私のことを、初めてできた友だちのように思っているみたいだった。もしかしたら実際、足のせいで友だちはいなかったのかもしれない。
    「その足は、どうして」
    「前にね、事故で。治らないみたい」
     陰を感じさせない言い方だった。公園の外で、小学生たちがはしゃぎながら歩いていた。時刻は八時を回っている。
    「普段は何をしているの?」
    「予備校で勉強教えてる」
    「すごい。先生なんだ」
     ぱん、と桃子は両手を合わせた。
    「うーん。まあ、アルバイトだけど」
    「人に教えられるものを持ってるって、すごいことだと思う」
    「そうかなあ」
    「瑞樹も教えてもらったら」
    「うん、そうだね」
     そこで初めて彼の声をきいた。静かで、綺麗な低い声だった。
    「でも、私が教えてるのは中学生だから。瑞樹くんは、大学生くらいでしょう」
    「うん。今二年生」
     ふいにひやりとした風が吹く。ああ、こういう冬の風が好きだ。私はそう思った。すると桃子が、
    「いい風」
    と言ったので、少し驚いた。思わず、桃子の方を見やると、目が合った。
    「ね、そう思わない?」
     口元をゆるませて桃子が言う。その横で、瑞樹くんがとても穏やかな表情をつくっているのが見えた。そして、桃子に気付かれないように、桃子を見つめていた。目を細め、本当にいとおしそうに、慈しむかのように、彼は桃子を見つめていた。私はそんな彼を歯科医の端に入れながら、「そうだね」と頷いた。
  • 5 yyy id:i-Tmn32cx.

    2011-06-26(日) 15:44:23 [削除依頼]
    なんとか書きたいあげ
コメントを投稿する
名前必須

投稿内容必須

残り文字

投稿前の確認事項
  • 掲示板ガイドを守っていますか?
  • 個人特定できるような内容ではありませんか?
  • 他人を不快にさせる内容ではありませんか?

このスレッドの更新通知を受け取ろう!

ログインしてお気に入りに登録すると、
このスレッドの更新通知が受け取れます。

お気に入り更新履歴設定

お気に入りはありません

閲覧履歴

  • 最近見たスレッドはありません

キャスフィへのご意見・ご感想

貴重なご意見
ありがとうございました!

今後ともキャスフィを
よろしくお願い申し上げます。

※こちらから削除依頼は受け付けておりません。ご了承ください。もし依頼された場合、こちらからの削除対応はいたしかねます。
※また大変恐縮ではございますが、個々のご意見にお返事できないことを予めご了承ください。

ログイン

会員登録するとお気に入りに登録したスレッドの更新通知をメールで受け取ることができます。

お気に入り更新履歴設定

お気に入りはありません
閲覧履歴
  • 最近見たスレッドはありません