天の時間19コメント

1 ‘‘理文” id:lGvRpDk/

2011-05-08(日) 15:18:04 [削除依頼]
注意:てんの時間ではなく、あまの時間です。

〜プロローグ〜

 ある秋のある日。秋の夕日を背景に立っていたエアと名乗った少女は、僕にこう言った。
「例えば、どこかで誰かが飢え死ねば、その人が死んだ責任というのは、誰が背負わなければならなくなると思う?」
 この時の僕は、ただ純粋に考えた。
 もちろん、それは誰の責任というわけでもないんじゃないか。
 多分、今、このことを聞かれても、そう答えるだろう。
 けど、そんな僕の答えに、エアは苦笑しながらこういったんだ。
「……やっぱり。君ならそう答えると思ってたよ。残念ながら不正解」
 そういいつつ、彼女は自分が背にしている夕日を見る。そして、街を囲む山の中に沈む夕日を眺める。
 このとき、僕が思ったことといえば、綺麗だな、とか言うその光景への感想だった。
 一人たっているだけでも綺麗な彼女が、夕暮れの中で立つ。夕日の景色も相俟って、可憐な、そして芸術的な絵の様な光景となる。
 僕は質問の答えの催促も忘れて、この光景に見入ってたんだ。
 しばらく黙っていた彼女は、やがて口を開いた。
「何処知れぬところで誰かが死んだ要因。それは、すべての世界の存在……だよ」
 勿論、何を言っているのかは僕に分かるはずもない。だが、彼女はそれに気づいて、それでも気にした風も無く続けた。
「すべての出来事は、すべての時空で起こった出来事が要因になっている。分からないかな。私と君が出会ったのも、すべての時空で起こった出来事が要因になってるんだよ」
 僕はそのとき、必死で頭を働かせたんだ。彼女の言ってる意味を理解したい。そうしなければ、置いていかれる気がして……。
 けど、時間も彼女も、僕が考えをまとめるまで待ってはくれない。
 誰かが考えをまとめるのを何時までも待ってくれるほど、世の中は甘くはない。
 エアは、考え続ける僕を待たずに、こう言った。
「結局、私達は天の時間に振り回され続ける。何時までも、何時までも、自分達の意思に関係なく。世の中を理で埋めていく」
 独り言のように、自分に言い聞かせるかのように言った。今思うと、実際にこのとき彼女は、自分に言い聞かせていたのだ。
 この言葉を僕は今でも一言一句間違いなく覚えている。これからも、何時までも、何時までも、僕の頭の中で行き続けるだろう。

 これは、僕が秋の日にあった出来事。
 ある小さな店で出会った五人の戦士達と、一人の少女が織り成す物語。
 まずは、僕がこの街に引っ越してきた直後の話からはじめよう。
  • 2 ‘‘理文” id:lGvRpDk/

    2011-05-08(日) 19:13:17 [削除依頼]
      〜一章〜

     がちゃん。と、聞きなれない音が僕の耳の中で反響した。
     実は、音の正体はただドアを閉めた音。だが、そんな音も新鮮に感じてしまうのは、この家に来たのがはじめてだからかもしれない。
     引越し……。昨日、荷物を全部こっちの家に送り、今日僕たちもここに移動した。これで引越しは終わり。引越し業の人たちもとっくに帰っている。
     二歩ほど下がって家の全体像を見る。
    ―――うん。やっぱり見慣れない。
     まあ、すぐにこの家も当たり前になるだろう。そして、前住んでいた所が思い出の場所となる……。
     なんとなく携帯を開けた。メールは一軒も無し。時間は二時半。まあ、今頃はまだ皆授業の真っ最中だろうしな。メールなんてしていられないだろう。
     携帯をポケットにしまうと、家の門をあけて外へ出る。
     さっき車の中から見た道路と住宅街。普通の何処にでもある住宅街だ。ただ、違和感を感じるのはほとんどの家が新築同然だからか……。
     さてと、今外を出た理由は少し街を探検するため。ある程度は道を知って置かないと後々困る。取り敢えず今は駅のある方向にいってみることにした。
     やはり、住宅街の雰囲気自体は何処にでもあるものだ。前住んでいたところと特に変わりはない。
     街自体にはすぐに慣れるかもしれない。
     引越し自体は初めてだが、こういうのも新鮮だ。
     それにしても、人っ子一人居ない。もしも迷ったりしたらどうするか……。まあ、ここまではまっすぐ来ただけだから迷いもしないか。
     それから、そう歩かないうちに住宅街を抜けて、駅周辺の店や会社が立ち並ぶ地域へと踏み込む。
     駅周辺の地域にはそれなりに人が居た。会社の従業員やアルバイター、主婦などが忙しそうに行き交いしている。極一部、低学年辺りの小学生までもが走り回っていた。
     それにしても、駅周辺はそれなりに人が多い。僕はそのまま駅の方へは向かわず、脇道へと足を踏み入れた。
     ちょっとした探検気分で、車では入れない狭い通りを歩く。あまり人が居ないのは少し危険に感じるが、まあ、大丈夫だろう。
     ふと、一つの店が目に入った。店と言うか、小さなカフェという感じだ。人の気配はしない。どうしてこんな人のいない場所に立っているのか……。
     急にくぐもった音が僕の耳に入ってきた。少しおなかを押さえる。
     そういえば、そろそろ三時だったな……。
     財布をポケットから出し、中を確認する。
     うん。そこまで多くはないが、少なくもない。カフェで少しお茶するぐらい大丈夫だろう。
     そう思い、僕は小さなカフェに足を踏み入れた。
  • 3 菜乃花 id:ez-6Q5ZvLj0

    2011-05-08(日) 19:31:21 [削除依頼]
    また発見!
    どうやら大佐の小説には吸引力があるらしいw
    更新楽しみにしてるよ(^O^)
  • 4 セーラ☆ id:sqGCfPD1

    2011-05-08(日) 19:35:21 [削除依頼]
    また発見したw
    理文さん頑張りまっし
  • 5 ‘‘理文” id:lGvRpDk/

    2011-05-08(日) 19:47:43 [削除依頼]
    >>2  戸を開くと、扉の上に取り付けてあった鈴が鳴った。  カフェの中は外見より広く感じる。恐らく、人が居ないからだろう。  客席の方には机が三つ置いてあり、それぞれに四つ。全部で十二人しか入れない。奥の方にテラスの様なものも見えるが、机が一つと椅子が三つ置いてあるだけ。あそこもあわせてもせいぜい十五人だ。  茶色を期とした色の模様の壁が趣を感じさ、小さな音でクラッシクの様な音楽が流れていて、それが心を落ち着かす。  客が入ったことに気付いたのか、カウンターの奥にある戸が開き、二十代辺りの女性が出てきた。多分、家商業なのかもしれない。  女性……いや、店員は僕の近くまで来ると少し訝しげな顔をする。しかし、すぐにそれを払うと営業スマイルで言った。 「いらっしゃいませ。席は適当に座って。注文が決まったら呼んで」  それだけ言って厨房の方へと入る。  えっと、取り敢えず、適当に座って良いんだよな……。  取り合えず適当に一番近くの席へと座る。ちょうど入り口の見える位置で、窓もあるが……。まあ、窓の外を見ても何も無い。狭い通りがあるだけだ。  机の上においてあったメニューを手に取って開ける。メニューを見た感じ、カフェと言うよりは喫茶店だ。いや、同じか……。  メニューには紅茶や珈琲などのドリンク類とケーキやアイスなどの菓子類だけだ。 「あのー、注文決まりましたー」  間延びした声で先ほどの店員を呼ぶ。店員はすぐに出てきた。  僕の席まで来ると、注文は、と一言聞いてくる。 「えっと、レモンティーとチーズケーキ下さい」  取り敢えず、一番易いものだ。  店員は注文の内容を繰り返し確認してから厨房へと戻る。二分と掛からずに店員は厨房からレモンティーとチーズケーキを持ってきた。  店員はレモンティーとチーズケーキを机の上におくと、一言、聞いてきた。 「高校生って、今の時間帯は学校よね?」  あ、そうか。だからさっき訝しげな顔してたのか……。  まあ、怪訝に思われて当然だろう。今は高校生は学校で授業を受けている時間帯だ。 「今日引っ越してきたばかりなんです」  一から説明をするのも面倒だから、それだけ言う。  店員はその一言だけで納得したのか、へぇ、とだけ相槌を打った。それから、一言、こう言ったのだ。 「なんにしても、さっさと食べて立ち去ったほうが良いよ」  え、立ち去ったほうが良いって……なに?  店員の顔をよく見てみるが、いたって真剣な顔だ。けど、そんなこと言ってたら営業成り立たないんじゃ……。  店員は僕が訝しげに思っているのに気付いたのだろう。言葉を続けた。 「だってね。もうすぐここには………」  しかし、店員の言葉はカフェの戸が開く音で遮られた。
  • 6 ‘‘理文” id:lGvRpDk/

    2011-05-08(日) 19:49:00 [削除依頼]
    >菜乃花
    また発見されたww
    吸引力ってwww
    サンクスw

    >セーラ
    お前もかww
    了解。
  • 7 ‘‘理文” id:hM7nqgm0

    2011-05-09(月) 19:02:30 [削除依頼]
    >>3  来客を知らせる鈴がなると同時、店員がなにやら面倒くさそうな顔をした。  店の中に入ってきた客が何時もの、といってこちらの方に来る。  すぐに客が視界の中に入ってきた。二十代前半辺りのその男性客は、サラリーマン風のスーツ姿で、手にはこれまたサラリーマンの様な手提げ鞄。顔つきは少し弱弱しく、髪はそれなりに手入れが行き届いており、短髪。丸メガネをかけており、やはり顔までもがサラリーマン風。  日本を代表するサラリーマンといった感じだ。あまりにも統一しすぎているのが逆に印象に残ってしまう。というか、ここ、ちゃんと客来るんだ。  店員は入ってきた客人の方を向くといった。 「何時もの、ってのは何時もので良いのか?」  サラリーマンはその問いに当然の様に頷く。というか、店員さんの確認がちゃんとした確認になっていない。  店員は一つ大きく溜息を付くと、厨房へと戻っていく。さっきの話の続きは聞けそうにない。一体、何がダメなんだろうか……。  サラリーマンはざっと店内を見ている。多分、席を探してるのかな。  僕は視線をチーズケーキに移すと、フォークを取って一口食べる。  うん。美味しい。普通のチーズケーキだ。  僕はさらにもう一口とフォークでチーズケーキの隅を切ったところで、僕の正面から何か圧力の様なものを感じた。  そっと顔を上げてみる。そこにはにっこり笑うサラリーマン。  地獄絵図。  何となく、そう思ってしまった。なんか、アニメの中に入ってしまったみたいな感覚に陥ってしまう。  それだけ絵に描いたようなサラリーマン的外見なのだ。 「えっと……、何でしょうか?」  と、とりあえず恐る恐る聞いてみる。その質問に対して、サラリーマンはにっこりと答えた。 「特にないよ」  無いのね。そうか。無いのか……。  僕はとりあえず回りの席を見てみる。確認するまでも無く空席だらけ。勿論、他の席にここと変わってる所は見られない。  もう一度前を見る。新たな客はそこに当然の様に座っている。 「あの、席、空いてますけど……」 「うん。そうだね」  爽やかに返されたが、じゃあ、何故、わざわざ相席を……?  その質問は僕ではなく、女性の声で発せられた。
  • 8 ‘‘理文” id:hM7nqgm0

    2011-05-09(月) 19:06:40 [削除依頼]
    >>2+5+7 「あんた。なんでわざわざ相席選んでんの。他にも席あいてるでしょ」  店員さんだ。  だが、そう言いながらもサラリーマンが座っている席にクリームチーズケーキと珈琲を置く。  が、サラリーマンは店員の質問には答えず、信じられないと言いたげな顔で店員を見上げた。  出されたものに指を指しながら言う。 「珈琲なんて頼んだ覚えは無いけど……。何時ものっていったよね。何で紅茶じゃないの?」  あ、なるほど。注文したはずのものとは違うものが出てきたのか。それならサラリーマンの反応も分かる。  て、そうじゃなくて、何で相席……。  が、僕の疑問は敢え無くスルーされる。店員がサラリーマンの抗議に答えたのだ。 「あんたの娘さんがこの間心配してたよ。血糖値が高いってね。甘党も良いが、健康には気を使え」  そういえば、サラリーマンはここの常連のようだった。だとすれば、そのサラリーマンの娘というのも、また常連なのだろう。  いや、待て。二十代前半の若者に、そんなことを気にしてくれるようなしっかりした娘さんがいるのか? 「だからと言って注文と違う物を出すのは営業上ダメなことなんじゃないか、瑠奈さん」  瑠奈、とは恐らくこの店員のことだろう。  それにしても、サラリーマンの言っていることは一理ある。注文した以上はその注文.通りの品を用意するのが普通なはず。それで客がどうなろうと、客の自業自得だろう。  しかし、店員――瑠奈さんは何食わぬ顔でこう言った。 「あんた、なんて注文した?」 「そりゃ、勿論クリームチーズケーキとこうち……」  言いかけたサラリーマンの回答を遮って、瑠奈さんは言う。 「違うね、あんた、何時もの、って言ったろ。そうだろ」  最後のは僕の顔を見ていっていた。  うん。確かに言った。何時も通りって。 「な。お前はちゃんと商品名を言ったわけじゃない。なら、何が出てきたって文句は言えないはずさ」 「いや、でも……」 「問答無用」  抗議しかけたサラリーマンの声を遮って突き放すように言うと、厨房へと向かっていく。  サラリーマンが小さく呟いた、卑怯だ、という言葉には思わず同意してしまう。  瑠奈さんは厨房に入りきる前に、振り返って言った。 「砂糖やミルクも使うんじゃないぞ」  言われてサラリーマンと一緒に机の上を見る。普通、喫茶店に置いてあるはずの砂糖やミルクが、この机の上にはない。他の席を見てみる。同じく置いてない。  サラリーマンががくりとうなだれる。  よくもまあ、サラリーマン一人のためだけにこんなことをしたもんだ。いや、もしかしたらこの時間は彼以外に客は来ないのかもしれない。  って、あ。もう少しで忘れるところだった。  何でこの人は僕の目の前に座ってるんだ?
  • 9 セーラ☆ id:bMBq00Z1

    2011-05-09(月) 19:11:23 [削除依頼]
    またまた×∞はっけ〜ん >6 わたしの小説も頑張るなり。
  • 10 ‘‘理文” id:hM7nqgm0

    2011-05-09(月) 19:17:09 [削除依頼]
    >セーラ
    はいはい。
    うん。頑張ってね。
  • 11 ‘‘理文” id:yTUMn0O1

    2011-05-10(火) 19:36:54 [削除依頼]
    >8 「あの……、それで、他に席、空いるんですけど……」  あとこれ二回目なんですけど。  今度はサラリーマンは少し困ったような顔をして答える。 「いやね……。この時間に客なんて見かけないし、僕は人としゃべるのが好きだからね。相席いやだった?」  最初からそういってくださいよ。  それにしても、やっぱりこの時間は客は来ないのか……。まあ、こんなところにあったら当然か。 「まあ、別に良いですけど……」  本心だ。特に嫌だから聞いていたわけではない。何故わざわざ相席を選んだのかが気になっただけだ。  サラリーマンは少しうれしそうな顔をしながらうなずくと、名前は、と聞いてきた。  とりあえず苗字だけ名乗っておく。 「ふーん。それにしても、君、高校生でしょ?どうしてこんな時間に……。あ、中卒生?」  僕はぶんぶんと強く左右に首を振る。  何でこんな時間にとは先ほども聞かれたが、中卒生と思われるとは思わなかった。  僕は先ほど瑠奈さんに言ったのと同じことをそのまま伝える。  すると、サラリーマンは納得したように頷いた。 「住所は?」  いや、さらりとそんなこと聞いてきますか?  流石に初対面の人相手に住所を簡単に教えられないでしょ。 「流石にそれは……」 「ああ、そうだね。ごめん不躾な質問で。後で調べれば分かることだよね」  は?今、なんと?  思わず僕は持っていたフォークを話してしまう。ほんの少しの自由落下を行ったフォークは皿の上に落ち、からんと刻み良い音を鳴らした。 「あの……、今、なんて……?」 「え?だから、後で調べれば分かることって、何かおかしかった?」  いや、おかしいでしょ。後で調べれば分かるって……。ストーカーか何かか?  待てよ。さっき瑠奈さんが言いかけてたのってこのことなんじゃ……。  サラリーマンの印象が、僕の頭の中でだんだんと危ない方面へと進んでいく。サラリーマン本人も僕の時と共に強まる疑いの視線に気付いたのか、慌てて言った。 「いやいや。そうじゃなくて、僕は……」 「この人は区役所で働いているから。引っ越してきたのなら、住所を言わなくても分かるのよ」  サラリーマンの言葉を遮って届いたのはさっきも聞いた声。聞こえてきたほうを見ると、厨房から出てきた瑠奈さんがケーキのセットを盆に載せながらこっちに向かっていた。  瑠奈さんは僕たちの居る席まで辿り着くと、盆を机に置いてサラリーマンの横に座る。  なるほど。このサラリーマン、実業は公務員、それも区役所の人だったのか。なら、さっきの調べれば分かるっていう言葉にも納得できる。  引っ越したら当然、区役所へは連絡が入る。そうなれば、そこで働いている彼にも耳が届くのは当然と言うことだろう。  サラリーマンは苦笑しながら言った。 「いやー、ごめんごめん。こっちも自己紹介しておくべきだったね」 「それ以前にあんたは言葉を選びなさい。あと初対面の人の住所を勝手に調べたりしない。職業の悪用よ」  言いつつも、盆に乗ったケーキを一口口に入れる。あ、そのケーキ、自分のだったんですか。  少し放心している僕に気付き、瑠奈さんはああ、と呟くと、言った。 「一応、自己紹介しておくよ。私は朝比奈瑠奈。ここの店長やってる。瑠奈でいい。見ての通り客が少ないからね。常連になってくれるとうれしいが、他にもこんなのみたいなのが居るから気をつけたほうが良い」  こんなのとはもしかしなくともサラリーマン、否、公務員のことだろう。というか、他にもこんな人が居るならあまり常連にはなりたく無いんですけど……。  一方、こんなの呼ばわりされた公務員は、何か言いたげな顔をしたが、瑠奈さんに睨まれる。その後少し落ち込んだような顔をすると、気を取り直して言った。 「えっとね、僕の名前は園崎和。カズで良い。ここの常連にはそういう風に呼ばれてる」  あ、ここの常連は皆親しいんだ。何となく、うらやましい。  まあ、その常連というのがどんな人たちなのかは置いといてだ。  自己紹介も終え、しばらく三人の間に沈黙が下りる。瑠奈さんがケーキを口にする音だけが  カズさんは少し何か考えた後、何か思い出したかの用に手を打つ。それから、鞄に手を入れながら言った。 「ポーカーって、やったことあるかい?」
  • 12 ‘‘理文” id:EWhy7AV0

    2011-05-11(水) 19:37:41 [削除依頼]
    >>11  そう聞きながらカズさんが鞄から取り出したのはトランプ。紙じゃなく、プラスチックの本格的な奴だ。  それを見た瑠奈さんが呆れたようなため息をつく。 「あんたね……。他の常連連中とやりなさいよ。素人とやって勝って楽しいか?」  素人って……。というか、他の常連の皆さんは素人じゃないのか?本格的なギャンブラー?  しかし、カズさんは瑠奈さんの言葉に何故かいやそうな顔をした。その目は何かにおびえてるように見える。 「いや……。あ、そうそう、今日はアスナさんやリーダーは来ないらしいし、サク君も学校の部活で来れないって……」  多分、今出てきた名前は常連の人たちのことだろう。  瑠奈さんは少し何か考えた後、言った。 「それじゃあ、アズマは……、って今日は競馬の日だったな。エアちゃんはどうよ?」  瑠奈さんがエア、と口にした瞬間、カズさんはぶんぶんと首を振る。  エアって誰だろう?見た感じカズさんはいやみたいだけど……。  カズさんはひとしきり首を振ると何か記憶を探りながら言った。 「いや、エアちゃんはダメだよ。僕は別に良いけど、あの子が僕の事あまり好きじゃないみたいだし」 「ああ、そういえばあんた、前はフォーク投げつけられてたっけね。全く、店のフォークを一本ダメにしやがって……」  いや、多分、というか確実に言うべきことはそこじゃないですよね。というか、フォーク投げるってどんな子なんだ……。  しかし、それにしても、カズさん、ずいぶんと怯えてるな……。まあ、フォークなんか投げつけられたら当たり前か。  瑠奈さんはカズさんの表情を見て、また呆れたような溜息を付く。 「まあ、良いよ。あんたも、ルール知らなかったりやりたくなかったら、断っていいんだよ」 「え、あ……。いや、カードゲームぐらい大丈夫ですよ。ポーカーですね。やったことあります。役作りだけの簡単な奴なら」  流石にお金とか、その代わりのポイントとかをかけてやるようなのはやったこと無いけど。それに、カードゲームぐらいなら断る理由は無い。  僕の返事にカズさんはうれしそうな顔をして、対照的に瑠奈さんは何かあきらめたような顔をした。 「それじゃ、私は下がるよ」  そう言いながら、瑠奈さんはゆっくりと立ち上がる。喋りながらもすでに平らげている自分のケーキの食器を盆に載せると厨房へと戻っていった。  カズさんと二人、席に取り残される。  カズさんのほうを見ると、こちらはトランプを繰りながらニコニコとしている。  地獄絵図だ……。サラリーマンを極めた公務員がニヤニヤしながらトランプ繰ってるよ……。  カズさんは一通り繰り終えると、僕とカズさんのほうにそれぞれ一枚ずつ配っていく。二人の手元に五枚のカードがそろうと、カズさんは残ったトランプの束を机の真ん中に置いた。 「ルールは簡単に、役作りだけの勝負。三回戦で良いかな。フォールドやスタンドとか細かいルールは無し。一度交換したらそれでおしまい」  カズさんは適当にルールを説明しながら、二枚のカードを捨てて、束から同じ数だけカードを引く。  おっと、僕もぼうっとしてる場合じゃないな。  僕の手札は、スペードのAとハートのキング、ハートのジャックとクローバーのキングにハートの六。  このまま行けば、ワンペアで、カズさんが同じくワンペアで会ったとしたら、勝ちは確信できるけど……。相手がツーペアって可能性もあるしな……。  俺はとりあえずキング二枚と、強いカードであるAを残して二枚捨てる。それから、束からカードを二枚引いた。  引いたカードはスペードのキングとダイヤの5。スリーカードだ。しかも、かなり強いカード。  多分、僕の内心が表情としてもれ出たんだろう。カズさんが少し難しそうな顔をしながら、良いね、と言った。勿論、僕は頷く。 「それじゃ、カードを出そうか」  僕は手に持ったままカードを見せる。机にはケーキが置いてあるため、カードを広げることが出来ない。  僕のカードがスリーカードなのに対し、カズさんのカードはワンペアの9だった。カズさんが見るからにがっくりとうなだれる。  一回戦は僕の勝ちか……。
  • 13 ‘‘理文” id:9zYcXy81

    2011-05-15(日) 19:37:08 [削除依頼]
    そういえば、まだ前書きを書いていなかったことに気付きました。 作品の途中で申し訳ないですが、ここで入れさせてもらいます。 〜前書き〜 初めての方は始めまして、久しぶり、もしくはさっきあったばかりの人、こんにちは。 いろんな意味で極一部の人間にだけ有名な理文です。←それは有名とは言わん。 ええと、これで通算何作目でしたでしょうか?? まあ、そんなことはともかく、今回の作品について少し、内容に触れない程度に説明しましょう。 ええと、はい、まず言わなければならないことは、「天の時間」は、「あまのじかん」と読むということです。決して、「てんのじかん」とは読まないように。←意味は変わりませんが。 すでに読んでいる方は……、いや、すでに読んでますね、これを見ている人は。 読んだ方は分かると思われますが、ライトノベル調です。測らずしてですけど……。作風が作風なだけに仕方ないですけどねww ええと、この小説の要素は以下の二つです。 ギャンブリングと哲学。 哲学に関しては、まあ、いうなれば、>>1でエア君がかっこよく決めていることですね、はい。他にもいくつか入ります。 あと、題名はここから来ています。勿論。 さて、主人公の名前。未だに出ていないことを不審に思われるかもしれませんが、決して名前が決まっていないわけではありません。 なら、何故主人公の名前が出てないのか? それは、完結した後に……。 って、あれ。これネタばれ? それでは、天の時間、更新していきますので、どうぞよろしくお願いします。 ちなみに、哲学的な話に関してはすべて筆者の考えです。そこをあらかじめ、ご了承ください。
  • 14 ‘‘理文” id:0RTigRZ1

    2011-05-16(月) 19:13:10 [削除依頼]
    >>12  さて二回戦と、カズさんがトランプを配る。さっきも思ったが……この人、かなり手際が良い。カードを切るのも早いし、二分割して一つにまとめるのも手の内でやっている。僕には到底無理な芸当だ。  さっき瑠奈さんが行っていた素人とか言う話は、もしかしたら本当なのかもとか思ったりしてしまう。まあ、練習すれば誰でも出来ることだろうけど……。  カードを切り終えると、一枚ずつカードを配っていく。だが、三枚目を配るとき、カズさんの手がぴたりと止まった。 「ねえ、さっきも思ったんだけどさ……。どうして片手だけ手袋?」  そう言われて、左手にしてある薄い作業用の手袋を見る。まあ、その内聞かれるだろうとは思ったが。  僕は適当に手を振ってごまかす。  普通の人なら、こうやってもさらに突っ込んでくるところなんだけど……カズさんは違った。それだけで何かを察したかの様に、それ以上は聞いてこなかった。  説明の手間が省けて楽だけど……。何となく、違和感を覚える。本当に何となくだけど。  カズさんは気を取り直してカード配りを再開した。  すぐに僕の左手には五枚のカードがそろう。  ええと僕のカードは……。スペードのエース、クローバーの3、ハートの8にクローバーの10、そしてスペードのジャック。見事なブタ(役無し)だった。  こういうとき、トレードするべきカードは弱いカードを三枚。クローバーの3と10、ハートの8を交換する。  引いた三枚のカードは、スペードのキングと3、クローバーのキング。  とりあえずはワンペアだ。けど、弱い。カード自体は強いが、ワンペアでは弱い。  少し悩みながら、カズさんのほうを見る。カズさんはまだカードを交換していなかった。何故か、不気味な笑みを浮かべながらこちらを見ている。  あれは、間違いない。かなり強い役を持ってる。うん。ワンペアやツーペアなんかじゃなく、フルハウス(スリーカードとワンペア)やフォーカード辺りの……。  が、すでに交換の時間は終了。  まあ、負けても良いか。何か掛けてる訳でも無いし。 「じゃ、カード見せようか」  カズさんのそう言う声は物凄く弾んでいる。  まあ、負けだろうけど一応見せる。カズさんもカードを公開した。  それを見た瞬間、俺は思わず聞いてしまう。 「マジで?」
  • 15 ‘‘理文” id:0RTigRZ1

    2011-05-16(月) 19:13:35 [削除依頼]
    >>14 「マジで」  カズさんのカードは、見事なファイブカード。それぞれのマークの4が一枚ずつと、どんなカードとでもペアを組めるジョーカーがカズさんの手におさめられている。  それは、まあ、余裕の表情を浮かべてしまうな……。  だがそれ以上にすごいのは、このまず出るはずの無いファイブカードを一発で、交換無しで出してしまったことだ。  物凄い強運。冗談かと思えてくる。もしかして、何かしたんじゃと思わず疑ってしまう……。  カズさんは僕の疑いの視線に気付いたのだろう。声には出さず、身振り手振りで無実を訴えてくる。  まあ、こんな強運が二回も続くとも思えない。三回戦目をやれば、今のが本当に運なのかどうかが分かるだろう。 「じゃ、じゃあ、最終回行こうか」  この勝負で完全に決まる。というか、今思ったら、いつの間にか僕まで熱くなってるし……。  カズさんが完全にカードを切ると、すぐにカードを配る。  五枚そろったところで、カズさんがすぐさま三枚のカードを捨てた。そして三枚引いていく。表情はこれまた余裕の顔。もしかして、これがいわゆるどや顔という奴か?  ええと、俺の手札はスペードのエースと9、クローバーのエース、ダイヤの3と7。ワンペアだ。  とりあえず、交換はスペードの9とワンペアのカードを残して二枚で良いだろう。  二枚捨てて、二枚引く。引いたカードは、クローバーの9とハートの3。  何か惜しい気もするが、とにかくツーペアではある。  だけど、カズさんの余裕顔。ツーペアは軽く越していそうだ。さっきの表情と全く同じだし……。 「フォールド(降参)するかい?」  カズさんが余裕顔をしたまま聞いてくる。うーん。どうせ負けるしな……。  って、いや、待て。なぜここでフォールドを薦める??自分が強いカードなら、ここでフォールドなんて薦めないはずだ。 「とりあえず、相手に耳を貸さずに自分の考えでそのまま突っ切れば良いよ」  僕の隣に座った女子がそう言う。まあ、それは考えていたところだ。フォールドなんてしなくても、負けなら負けだ。なら、フォールドなんてする必要ないじゃないか。というか、これは何も掛けてない純粋なお遊びだ。フォールドもくそもない。  僕は、否定の意味を表すために首を振った。  カズさんがどや顔のまま、じゃ、勝負ね、と言いながら、僕のほうを促す。  え?まず僕のを見せろって言うことかな……。  とりあえず僕のツーペアを先に見せる。途端、あからさまに落胆した表情をした。 「僕はワンペアね。それも2の」 「え!?それであんな余裕の笑み浮かべてたんですか!?」  2以外のワンペアでも勝てる役だった。つまり、この人はブタの次に弱いカードであんな余裕の表情を見せたのである。相手のフォールドを誘うために。  まったくもって腹立たしいことだった。  というか、やっぱり暑くなって無いか?僕……。 「カズは素人相手のとき、弱いカードだと相手に降参を求めることが多いからね」  そう言って、少女が的確に解説してくれる。  なるほどね……。まあ、お遊びのポーカーでフォールドを求めるほうがおかしい。すぐに気付かなかった自分があほなだけか……。  って、あれ?何、この違和感。何か、何かが根本的におかしいような。  ふと前を見ると、カズさんが恐怖を押し隠す子犬みたいな表情をしている。その視線の先は、僕の隣。  そこには、さっきまでは居なかったはずの少女が座っていた。
  • 16 ‘‘理文” id:YTWOOR0.

    2011-05-17(火) 15:47:33 [削除依頼]
    >>15  いつの間にか座っていた少女はゆっくりと首をかしげながら僕とカズさんを見る。まるで、気付いてなかったのかと言いたげに。  髪は高い位置で一つに括っているにもかかわらず、鎖骨の下まで届いている。恐らく、解いたら腰まで届くだろう。僕とカズさんを見る瞳は綺麗な漆黒の宝石のようで、白い肌がさらにそれを強調している。着ているのは薄い水色に統一された飾り気の無いワンピースだ。首にチェーンが付けられ、その先の胸の位置に十字架がかけられている。  いうなれば美人……。いや、美少女とでも言うべきか。見た目には十一、二歳ぐらいに見えるが、実際は幾つだろうか……。  雰囲気はすでに高校や大学を抜けている感じだ。 「エアちゃん……。いつの間に」  カズさんの呟きに思わず少女をまじまじと見詰めてしまう。  この子が、エア。あのフォークを投げつけたと言う伝説の子。  カズさんや瑠奈さんあたりと同じ年齢かと思っていたが、そうでもなかったらしい。  エアは僕の方を一瞬だけ見て、それからカズさんのほうを見る。 「ここに座ったのは、君達が二回戦を始めたときだよ」  ソプラノトーンの声で答える。そんなときから居たのか……。全く気付かなかった。  ふと机の上を見てみると、エアのところにチョコレートケーキと紅茶が置いてある。と言うことは、瑠奈さんに注文してた声も聞き逃したと言うことか……。  僕の疑問に気付いたのか気づいて無いのか、エアは少しだけ説明した。 「裏口から入ったから鈴もなって無いし、直接厨房で注文したから……。でもまさか気付いて無いとは思わなかったよ」  その口調は大人びている。やっぱり、この子は精神的な年齢が高いんじゃないか?  しっかし裏口から入るとは……。まあ、常連と言う話だからありえなくも無いけど。  カズさんが一度他の席を見回してから言った。 「他にも席、空いてるよ?」  あんた、それさっき僕があんたにした質問だよ。  だが、そこはやっぱり気になる。なんかカズさんと同じように納得して良いのかよく分からないことを言われそうな気もするが……。 「哀れな子羊が狼に襲われていたようなので引導のため……」  うん。期待通りリアクションに困る回答ありがとうございます。というか、何か物凄く聞き捨てならぬことを言ってなかったか?  哀れな子羊に、狼??  多分、子羊は僕で、狼はカズさん……かな多分。 「簡単な役だけのポーカーと言えど、ファイブカードとはずるいよね、カズ。ジョーカーは入れてなかったなんてことは無い?」  ええと、多分、エアは反則しなかっただろうなと聞いてるんだろうな。  カズさんは物凄く必死で首を横に振る。それを見て、エアは少し不満そうに頷いた。  何か、物凄い絵図が出来上がっている。大の大人が子供におびえているという世にも奇妙な構図。  エアはひとしきりカズさんを睨んだ後、ケーキに視線を向けた。釣られて僕もそのチョコレートケーキに目を向けると、まだ手付かずだ。  エアはすぐそばにおいてあるフォークを取ろうとして、やめる。その手をそのままもう一つの手と合わせて、何か言った。  小さい上に早口でよく聞こえない。一体、何を言ってるんだろう。  言い終えるとすぐにチョコレートケーキを食べ始める。  カズさんは苦笑しながらトランプを片付けた。未だにエアから目を離せまいと必死だ。よっぽどのトラウマなんだろう。フォーク投げつけ事件。  ふと、気になった。 「えっと……」 「エアで良いよ」 「エア……の本名は?」  これは気になるところだ。エアが本名、とかそんなことは無いはずだ。  案の定、エアは頷いて本名を言った。 「絵逢空音。絵逢の“えあ”と、空の英語の“air”でエアって呼ばれてる」  丁寧に呼称の由来まで話してくれる。なるほどね。エアが本名ってのもあながち間違いではないのか。あと、純粋日本人で安心した。  エアはまたケーキをおいしそうに食べている。そのしぐさがまた絵になる。どんな血筋でこんな綺麗な子が生まれたんだろうか……、そんなことを考えてしまってから、ふと、まだ自分のチーズケーキがまだ残っているのを思い出した。
  • 17 ‘‘理文” id:2V5byh2.

    2011-05-18(水) 14:20:07 [削除依頼]
    >>16  チーズケーキもそうだけど、紅茶はすっかり冷めてしまっている。  ためしに紅茶を一口すすってみる。味自体は劣ってないようだった。というか、これ本当にうまい。ケーキよりこっちの方がうまい。 「瑠奈は紅茶と珈琲とかに精通してる。ケーキよりもドリンクの方が美味しいから、ドリンクのみを注文しに来る客もいる」 「付け加えるなら、ケーキ単体で頼まれることはまず無いね」  紅茶を飲んで少し驚いたような顔をしていた僕に、エアとカズさんが説明してくれる。  なるほど。喫茶店、だしね。  そういえば、店の名前見てなかったな。後で見ておくか……。  とか考えていると、カズさんがゆっくりと立ち上がった。 「さて、僕はおいとまさせてもらいましょうか」  そういって立ち上がるカズさんに、エアが少し微笑んだ。 「あ、そう?じゃね」  にこやかに手を振る。明らかに追い出しだ。その目が怖い。  カズさんも少しビクビクしながら鞄を手に取り、レジへ。瑠奈さんを呼んでレジで会計を済ませると、それじゃと言ってさっさと店を出て行った。  慌てて帰ってしまったカズさんに疑問を覚えながら机の上を見ると、カズさんのコーヒーが見事に手付かずのまま残っていた。  エアの方を見ると、少し上機嫌にケーキを食べている。  そんなにカズさんが嫌か、と聞いてみたい。  まあ、そんな勇気、僕には無いけど。  だがそれ以前に、この子と二人だけ……?  目の前においてあるケーキはまだ残っているから、帰るわけにも行かない。  微妙な沈黙が、僕と少女の間で落ちる。いや、エアはチョコレートケーキを食べてるからそうでも無いか。  とりあえず、ケーキだけ食べて、さっさと帰ろう。無理にこの子と話す必要は無い。ケーキもあと少しだ。  ふと、エアが手を止めて、僕のほうを見た。じっと、見詰めてくる。 「んと、何?」 「いや、名前、聞いてないなって」  確かに言ってない。自己紹介すらしてない。取り敢えずカズさんにしたのと同じように苗字だけ伝える。 「下は」  エアが短く言った。仕方ないので、下の名前も言う。すると、何か驚いたような顔をした。 「何?僕の名前がどうかした?」 「ううん。なんでもないよ。言っても分からないだろうし」  なんなんだ一体。言っても分からないって……。知り合いに同じ名前でも居たのか?  エアは何か思案顔をすると、今度はこう聞いてきた。 「住所は?地域名だけで良い」 「それ、カズさんにも聞かれたぞ」  なぜここの常連は住所を聞きたがる。まあ、カズさんよりかはまだマシか。地名だけで良いっていってるし。 「小倉」 「セントラル。ライターでは無いね」  セントラル……?ライター……?  何か聞いたこあるような単語だが、多分俺の知ってる単語とは違う。使い方が違うし……。  何なんだ、セントラルにライターって。というか、なんなんだこの子は。  僕はチーズケーキをすべて平らげると、紅茶も少しずつ飲んでいく。チーズケーキを食べた後のため、紅茶の甘みは消えている。しかし美味しいと感じれるのは、この店の紅茶が美味しいからだろう。  未だに思案顔をする中学生少女。一人でちびちびと紅茶を飲む高校生。  いろんな意味で不思議な絵図だ。
  • 18 ‘‘理文” id:ePRacOc1

    2011-05-21(土) 14:03:09 [削除依頼]
    >>17  しばらく沈黙が続く。  空気が重いということは無い。それどころか軽い……。いや、落ち着ける空気だ。もしかしたらひとえに隣の少女の所為かも知れないが。  けど、いつまでもこんなところに長居してるつもりは無いし、そろそろ紅茶も飲み終える。  紅茶も飲み終わったら、あとは会計を済ませて家に帰るだけだ。多分、次にここにくることは……無い。  話では、カズさんとエアの他にも結構常連が居るようだった。常連ばかりが集まってるような店にはあまり来たくは無いし、馴れ馴れしいのも好きじゃない。  左手を見る。薄い作業用の手袋をした手。片手だけにはめている手袋。  僕は一つ大きく溜息を付くと、紅茶を一気に飲み干した。  そして、立ち上がる。 「ごめん、ちょっとどいて」  そう隣に座るエアに声をかけると、特に何も言うでもなくそこから立ち上がり、どく。  僕はそのまま席から抜けた。 「帰るの?」  エアは座りなおすとそう聞いて来る。何か考え事をしているようだが、僕には関係ないことだろう。  取り敢えず、頷いておく。  エアはそれに頷き返すと、フォークへと手を伸ばしかけて、やめた。  そして、言っくる。 「次、この店に来たら、貴方が今日ここに来たことは必然と言うこと。そして、もう来ることがなかったら、それは偶然と言うこと。分かる?」  いや、全く分からないです。  というか、何言ってるんだろうか、この子は。 「世は偶然のみで出来上がっている。起きたことや存在すること一つ一つに意味は無い。けど、そこに意味を持たせるのは、その存在自信。その存在しだいで、偶然も必然に変わる。多分、分からないだろうね、君には」  はい、全く分かりません。  そう言おうとも思ったが、彼女の顔を見ると、それもうせる。  別に、僕に聞いてもらおうと思って言ってるわけじゃないようだ。  彼女は僕じゃなく、紅茶に映るゆがんだ自分の顔を見ていた。  エアは急に顔を上げると、こう言った。 「今言ったことは気にしなくて良い。それじゃ、またお互いの道が交差することがあるなら、その時に」 「つまりは、縁があったらまた会おうってことか?」 「流石にこれは分かるね。その通りだよ」  全く。まだ中学生にもなったばかりだろうという子が、なんでこんな哲学っぽいこと語ってるんだ……。  何となく、自分が劣化した人間のように思えてくる。  彼女には、彼女自身の何かがあるのだろう。  それと僕とは関係ない。  エア風に言えば、お互いの道が交差することは無いだろう、と言ったところか。  さっきの使いまわしだな、これ。  僕はエアに手を振ると、会計を済ませる。  帰り際、瑠奈さんにこう言われた。 「また来な。あいつらが居るのは三時ごろから二十時ごろだ」  つまりはその時間帯外はいつでも来れば良いということかな。 「もう来ないかも知れないですけど、来たときは美味しい飲み物期待してます」 「ケーキも期待してくれ」 「はい」  瑠奈さんはじゃあなとだけ言って手を振る。  僕も片手を挙げることで、それに応じた。
  • 19 ‘‘理文” id:ePRacOc1

    2011-05-21(土) 14:04:34 [削除依頼]
    >>18 変換ミス。 訂正します。 エアの台詞、「けど、そこに意味を持たせるのは、その存在自信。」は、自信ではなく、自身です。
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