契約の騎士と黒の皇子5コメント

1 夜深 id:rR9ZR4F.

2011-05-08(日) 13:15:49 [削除依頼]

――ルディメジア帝国。


それは初代皇帝オールキウス・ルディメジアが建国、以来さまざまな功績と栄光によりその名を世界中に轟かせた大国である。
常にその技術は最先端を行き、豊かな自然に恵まれた土地は非常に美しいと他国から見物しにくる者もいるほどであった。
皇族の住まいとなる城を囲むようにしてある町は日の出とともに活気づき、平和な時を感じさせた。


そして、それは変わることなく約900年たった今でも同じ光景が見られる。
建築や人は変わろうとも、その穏やかな流れは変わらずにあった。

現在は、38代皇帝ノスタール・メディメジアが国を治めていた。
皇帝は多くの妃を持ち、皇子は14人、皇女は9人もあるがそのほとんどは腹違いだという。


――そう、これから語られるのはメディメジア帝国第13皇子ルナーシェ・メディメジアと、その騎士となるトーヤ・ルテイナが中心となったストーリーである。
  • 2 夜深 id:rR9ZR4F.

    2011-05-08(日) 16:33:29 [削除依頼]
    眠っていると、楽でいい。
    この安らかな闇に浸っている間はつらいことも嫌になることも全部、すべて……考えなくて済むから。

    しかし、これもつかの間の休息。
    朝になれば、また――…


    ――――


    シャッ


    「っ……」


    勢いのある音とともに、真っ白な光が差し込んできた。
    暗闇に慣れきっていたルナーシェには些か刺激が強く、反射的にその眉をしかめた。

    朝日の眩しさに目を瞬かせながら、開け放たれた窓の方へ目をやると、白の騎士服を着こなしている男がいた。
    そのすっとたたずむ姿は、ルナーシェの良く見慣れた人物のものだ。


    「おはようございます、殿下」
    「と、…ゃ……?」


    その男の発した声を聞いた途端、寝起きの霧がかかったような頭がはっきりしてくる。
    いつも聞いている声だ。


    (トーヤ……)


    吹き込んでくる風にふわりとゆれるダークブラウンの柔らかそうな髪、両の目に宿した新緑色。
    それはルナーシェの騎士――もとい、幼馴染みであるトーヤ・ルテイナのものだ。


    「お目覚めになられましたか、殿下」


    トーヤは部屋の窓とカーテンをすべて開け放ち、ルナーシェのいるベッドの脇にやってきた。


    「あぁ。………本当はあと少し眠っていたいが…」
    「――現在時刻は8時。8時30分の朝食の席に間に合わせるには今すぐにベッドを出て支度を始めて頂かなければなりませんので、無理です」
    「……相変わらず堅いな…」
    「性分です」


    ほんのちょっとした呟きにも、懐中時計で時間を確かめながらトーヤは言った。


    「わかった支度をする。ルテイナ、外で待っていろ」
    「かしこまりました。メイドがお召し物はクローゼットにかけてありますのでそれを、と。……では、15分以内にお願いいたします」


    トーヤはそう言い残すと、一礼して扉の向こうへ消えていった。それを見届けると、ルナーシェはベッドから出て着替えを始めた。
    クローゼットにあったのは平時用の、黒を基調とした衣装だった。それらに袖を通していき、最後に丈の長い上着を着込む。ついでに、最近少し伸びた髪を後ろで束ねて括った。

    ふわっ

    放たれた窓から心地よい風が入り込み、ルナーシェを撫でるようにして流れて行った。誘われるがまま窓の外をうかがうと、城下に広がる町を一望できた。
    他国にも評判の良い町並みは、自然も建築も実に美しい。
    朝から人々が町をにぎわせているのを見ると、また一日の始まりを感じさせた。

    そのまましばらくぼうっとしていると、扉を軽くノックする音が聞こえた。


    「殿下、もう15分になりますがお召替えの方は完了しましたか?」
    「……今行く」


    トーヤの声に返事を返すと、ルナーシェはそのまま部屋を後にした。
  • 3 花椿 id:RwW89kO.

    2011-05-08(日) 20:39:34 [削除依頼]
    こんにちは
    始めまして!

    文章力が凄いですね^^
    読んでいて、本当の文庫を
    読んでいるようでした

    続き楽しみにしています
    これからもよろしく\^^/
  • 4 夜深 id:qhQGTJX.

    2011-05-10(火) 18:51:56 [削除依頼]
    >花椿 様

    ありがとうございます!
    文章自体はあまり書いたことがないので、変になるかもしれませんが……
    なかなか時間がとれないので更新は遅くなると思いますが、気が向いた時に来てくださると光栄です。
    がんばっていきたいと思います。
  • 5 夜深 id:nDlW1qw.

    2011-05-23(月) 23:47:14 [削除依頼]
    午後過ぎ、日はやや西へと傾きかけている。
    町では子供たちの元気な声が響き、川のほとりでは春になって行動が活発になった小鳥たちが集い、愛らしい歌を奏でていた。

    そしてルナーシェはというと、一通りの執務を終えて、息抜きに城の庭を当てもなくぶらりと散歩しているところであった。
    いつもならここには騎士であるトーヤの姿も見られるのだが、今日は軍の訓練に回らなければならないらしく、ルナーシェは珍しく一人きりの午後を過ごしていた。


    (連れのない散歩も、たまにはいいかもしれないな)


    決してトーヤが居なくて嬉しいといったようなことではないのだが、いつもならどこへ行くにしてもトーヤが傍にいるため、ルナーシェはなかなか一人だけの時間をつくることがない。
    だから、こういうのも新鮮だという意味合いだった。


    (それにしても、静かだな…)


    いつもはうるさいくらいに構ってくるトーヤの声が、今日は聞こえない。
    それだけのことなのに、いつもとはまるで時間の流れが違う。
    上を見上げたら目に映る青い空も、どこか広すぎるように見えた。


    「……うん?……甘い……?」


    ふいに、微かな甘い香りがルナーシェの鼻をかすめた。
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