1 シャル [2007/02/13(火) 16:25:23 ID:lot]
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1日目〆バナナはおやつに入りますか?
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俺の名前は空沢順【カラサワジュン】
平凡に毛も生えないような平凡かつ凡庸な生活を送る高校一年生だ。
だが俺の素晴らしき人並み生活は見事にデストロイされることになる。
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今時そりゃないだろうとゆう親父の転勤なんて有りがちア〜ンドお約束な理由で俺は転校することになったわけだ。
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いつもごめんな。などと謝る親父の背中に単身赴任しろや!などと黒い電波を送る俺にほくそ笑んだのはたぶん気のせいだ。
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ついでに紹介する母は見た目ホワホワ中身ホワホワ。作る料理はいつもホカホカ、しかしなぜか弁当に入る卵焼きだけはゴワゴワとゆうなんともアグレッシブな擬音の使い手だ。
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この展開で俺に妹がいるんじゃないかと思った奴は甘い。俺には妹どころか弟すらいない。たとえ生き別れた血の繋がらない妹がいるとゆう万人が憧れる設定があったとしてもこの物語に出てこないことだけは確かだ。残念だ。
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前置きはこれくらいにしよう。
とにかく俺の学園生活に幸あれ。
140 ルル [2007/04/22(日) 07:54:28 ID:lot]
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「て〜と君は〜憎き女子高校生達と再度文化祭で恐がらせてやろうと夜な夜な教室で練習をしていたと……そゆこと?」
〔はぁい!9割方そんな感じです。残りの1割は何かと問われますとそれは企業秘密と言いましょうか幽霊秘密と言いましょうか乙女は秘密をもってこそ一人前なのよ、てへ☆てなノリなのです〕
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俺が夜の学校でアンビリーバボー。日本語で信じられない事態に遭遇した次の日。
とりあえず部室にお持ち帰りをした彼女に事情を聞いていた次第なのだ。
たいていの主人公はどっかの亜人とか、出てくる時代を間違えた恐竜なんかをかくまってしまったとき、たいていは周りに隠してしまうだろう。
だが!俺はそんなことはしなかった。
なぜなら!俺の周囲の連中はその程度の事では驚かない。
実際……ドアから入る俺の少し上、壁を通過して入ってきた彼女を見て放った
「それ誰?」
なる言葉のテンションは「今日のおかず?卵焼きだよ」と=で結ぶことができた。
俺なんて「我ら生まれは違えども死ぬ日は同じっ!!」とか言いだしそうなほどテンパったのに……
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「けどさ、45年もあったのにそれまで一回も文化祭出てないの?」
と、わこ助。
〔いえいえ。そんなことは断じて!その文化祭あるたびあるたびそりゃあもう『いざ鎌倉!』なんて御恩も奉公もへったくれも関係ないですけどそのぐらいの勢いで毎回挑んだんです!しかし……〕
「大爆笑されて終了……か?」
〔はい……そうなんです。だから今度こそ成功させて成仏したいんですが……〕
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この子のお笑いセンスでは困ったことに難しそうだ。
そして彼女は知らない。
今年の文化祭は往年よりさらに過酷であると。
さらにその直接的原因である蒼纏鬼が真後ろで……
満面の笑みを浮かべたことを……
141 咲拉良 [2007/04/23(月) 07:09:39]
あーげ↑
142 ルル [2007/04/25(水) 21:28:10 ID:lot]
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「違うっ!もっとこう顔面の筋肉をいじめぬく感じでっ!!」
〔こうですか!?〕
「違うっ!もっとこう顔面の筋肉がお祭騒ぎな感じでっ!!」
〔こうですか!?〕
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幽霊さんお悩み相談終了後。
部室前の中庭にて、波乃波乃監修のYYY大作戦が開始された。
後で知った事だが意味はY愉快なY幽霊Y憂愁美だそうだ。
つまりはみんなで協力して彼女を昇天させようって事らしい。
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「なあ、わこ助ぇ」
「ん?」
「幽霊に筋肉ってあんのか?」
「それはね、順。触れてはいけないことなんだ。この世界にリアルを求めてしまっては駄目なんだ。まあそれは此処が某掲示板内に作られた仮想世界だからだなんてことは一言もいってないよ」
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わこ助……俺は断じてお前の言ってる事が分からないぞ。
にこっと笑っても分からないものは分からない。断じて。
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「ここにいたのかぁ!空沢ぁ!」
「あれ?委員長……なんでここに?」
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銀ぶち眼鏡をびしっとかけ、なにやら書類の束を小脇に抱えている。
おっかしいな〜なんか俺問題起こしたっけ?
じゃなきゃわざわざ放課後に呼びにこられるイベントをもないはずだが……はて?
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「なんでここに?じゃないだろ!?実行委員!」
「え……あっ、ああ……ああ!」
「遅ぇよ!!」
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そうあれは2日前。
文化祭委員の選出の際の大ジャンケン大会の事だ。
輪から一番に抜けてしまった俺は楽観的に残り物には福があるか。とのんびりしていた。
そして結果的には……残り物には福がないことが判明した。
そういえば近日中に集会があるとかないとか……
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「あんたのせいで3分遅刻だ!ほらさっさと立つ!」
「へいへい」
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そして俺は能天気そうに手を振るわこ助と、壮絶な睨めっこを現在進行形な鬼と幽霊を背にその場を後にした。
146 同じく微妙にスランプの炉 [2007/04/30(月) 00:22:54]
がんばって!
応援するから!
147 ルル [2007/05/08(火) 00:55:08 ID:lot]
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結局開放されたのは日も落ちてからだった。一通り運営会議を終えてからもなんだかんだで色々と付き合わされてしまった。まあしょうがないから奢ってやるよの一言で投げ渡された缶コーヒーで誤魔化されたは気に入らないが……
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「ハイハイハーイ!我らが空沢さんが帰還しましたよーっ……とぉあ!?」
そこには現世では絶対に拝めない地獄絵図が展開していた。
正確には顔をひきつらせてのたうち回る例の奴ら……
「どうした…ハノ?顔が面白可笑しいことになってんぞ」
「うぬぬ…仮にも花のジョシコセーに面白可笑しいなどという形容詞はないんじゃないかな!?」
〔いやはや幽霊ともあろう私がこれしきの顔面変化拾得修行で根をあげてしまうとは……有るはずもない涙腺爆発寸前です!いやまったく!!〕
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意気消沈極まりない二人のすぐ横。
珍しくも口をへの字にまげ……笑いを堪えるわこ助がいた。
148 ルル [2007/05/09(水) 19:51:48 ID:lot]
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――そうこうしてる間に文化祭当日。
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ただ一言「そうこう」と言ってもその裏には並々ならぬ努力があったことを是非とも皆様に知っていていただきたい。(主に俺の)
そして現在。
俺達がおばけ屋敷の準備をしている裏で彼女はひたすらにチャンスをうかがっていた。
説明が遅れに遅れたが浮遊・飛行・透過の三拍子そろった幽霊の中の幽霊である彼女には普通に触れることができる。
絶対零度の中でも楽々生存できるであろう彼女の体温暖かくて冷たかった。つまりよく分からなかったのだ。
ちなみに今俺はここにいないがこの作品の構造上ナレーションがなければ成り立たないのでそこはスルーの方向で。
〔いまこそ憎き女学生にトラウマという名の精神的外傷をぉ!〕
と微妙に恐いことを言いながら意気込む彼女の姿は血塗れだった。
これは別にこの世を忍んで自決したわけでも『あんたを殺して私も死ぬ!!』とか叫んで辺りを血の海にしたわけでもない。
体を真っ赤に染めている正体はトマトを磨り潰して液状にしたものに調味料を加えたもの。つまりケチャップだ。
デフォで笑顔をたたえる彼女に恐怖を感じる事は極めて難しいと判断した我々の苦肉の策だった。
服(中等部の制服らしい)をまだらに赤く染め、顔の特殊メイクはハリウッドクラス(ハノ・わこ助作)のビフォーアフターは見事なおどろおどろしさだった。
待機している1−Cの教室の天井裏。顔だけを出し周囲を観察しながら今朝聞いた助言を思い出す。
〔狙うは一点女子生徒だけ。声の高さを考えて口は開かないほうがよい。全体を見せるように壁を通過し追い掛けるように迫る。狙うは一点女子生徒だけ…………〕
さすがは参謀わこ助。人間の心理をよく理解している。
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ジャスト10時。開校のチャイムが鳴り響く。
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〔直線走法一点突破一撃必殺粉骨砕身っ!!!今年の文化祭で、決着を付けます!!〕
彼女の長い一日の始まりだった。
149 玖有 [2007/05/09(水) 20:15:52 ID:towa1827]
更新ー´∀`●
ていうかやばい、
「違うっ!もっとこう顔面の筋肉をいじめぬく感じでっ!!」
〔こうですか!?〕
「違うっ!もっとこう顔面の筋肉がお祭騒ぎな感じでっ!!」
〔こうですか!?〕
がとってもツボにくる、最高!!
すきです、兄貴(告 ぇ
150 ルル [2007/05/09(水) 22:29:58 ID:lot]
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『女は千の顔を持つ化け物だ』などと人は言うがもっと言えば『女は千の舌を持つ化け物だ』
文化祭午前の部の終了と同時に流れた1−Cに幽霊がいるという噂は口から口、耳から耳へと伝達し、エラもオヒレもくそったれの勢いで広がっていった。
女の好物Best3は「人の噂・人の噂・人の噂」だと俺は信じて疑わない。(独断と偏見)
そして、そんなこんなの裏表。全てを知りうる俺達はやんわりとした優越感を感じつつ、花も散り尽くした桜の梢で昼食をとっていた。
「随分と派手にやってるね〜彼女」
「なはは〜そうだね〜」
クラスの連中は午後の部に向けて師も走るほど忙しく働いているが俺達は免除されていた。その後の劇に備えるためだ。(前話参照)
なのでいそいそと飛び回る生徒達を尻目にのんびりと昼を過ごしている、とゴワゴワの卵焼きをほうばりながらの状況説明をしてみる。
「しっかし……こんだけ噂が飛びかうくらい広まったんなら……とっくに満足して成仏してるかもな〜」
「そうだね〜お別れぐらい言いたかったけど……」
「ん〜……」
重い沈黙が場を支配する。
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「とまあ、重い沈黙が場を支配してるところ悪いんですけどまだ成仏実行はしてないんですよ〜はい」
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という声が……木の中からした。
152 ルル [2007/05/09(水) 23:00:06 ID:lot]
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「ってええ?」
人から見つからないためだろうか。彼女は木にめりこんで顔だけだした状態だった。
「いきなり出てくんな!お前はアレか!?再開の約束を交わした恋人を木の下で待ち続けた挙げ句木の成長に巻き込まれちゃった少女ですか!?あんた!!」
〔いいんですよ順さん……そんなロマンチシズムなことを言わなくても……ええぇもう分かり切ってますから!!この姿がどっかのマッチ棒売りまくる少女みたいに健気じゃないっすから!!なんつーかもうホラーですから!!直視不可能なんですよ〜〜〜!!〕
およよと泣き崩れ(嘘)「よしよし。もう大丈夫じゃきん」〔ハノ姉さん!〕などと騒ぎ始める。
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「それで……なんで成仏できなかったのかな?」
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というわこ助の問いに答えるために残念そうに(なぜか)離れる二人。
〔なんていうか……恐がらせるには恐がらせられたんですけど……違うんですよね……〕
「「「違う?」」」
〔はい。何というか恐怖といっても文化祭のおばけ屋敷としての割り切った恐怖といいますか……う〜ん……〕
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つまり。彼女の言いたいことはジェットコースターの様なものだろう。
落ちることが分かっているという前提のうえで坂を上がる。
怖いことが前提でおばけ屋敷に入るのも同じ事。フラストレーションもたまるわけだ。
だったら……
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「あの手を使ってみるか」
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一斉に集まる視線。
「あの手って?」
変則的かつ効果的に効率よく恐怖を与える方法。
場所の問題があるがそれさえクリアーすれば効果は抜群だ。
そう。それは……
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「つり橋効果……だ!」
155 ルル [2007/05/11(金) 22:36:01 ID:lot]
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『つり橋効果』
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それはつり橋の国のつり橋地区に住む吊橋渡さんが発見したつり橋上でしかみられないという素敵つり橋現象である、というのは冗談だ。
本来の意味なんぞ分からんがよく聞く話しだと、一緒に高い橋を渡った男女の一方が『うわっ高っ!怖え〜』と勝手に心拍数をあげドキドキし『あれ?俺(私)こいつのこと……好きじゃー!!』みたいな壮大な勘違いの話しらしい。(と、俺は思っている)
ファーストインプレッションを払拭したい君は試してみるといいんじゃないかな?
ところで、なぜこんな話をしたかというと、まず俺達が今どこで何をしているかから語らねばなるまい。
そう我々は今劇の真っ最中だったのだった。(過去形)
魔女が王子で姫が裏切り小人最強説さえも打ち建てた極・電波のホワイトスノーはまだまだ記憶に新しい。
できることなら即座に俺コマンド「削除」を起動したいのだが……どうしてもあの壮絶な光景は網膜に焼き付いて離れない。
ちなみに毎晩夢にみます。あれ?悲しくないのに涙がでるよ?
「お前にも分けてやろうか?この悲しみとやりきれなさのうなされnightを……」
「へ?順君……なんか言った?」
「いんや〜んでもないっすよ〜」
その愉快な(俺以外)劇はなんの間違いか最優秀賞なる栄冠に輝いたのだが……じつはこれには続きがあった。
156 ルル [2007/05/11(金) 22:55:57 ID:lot]
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‘それ’は最後の舞足派の劇の後に起こった。
というか起こした。
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誘利に存在する四つの演劇部(なんで四つもあるの?とか聞くな)の内の一つ舞足派は情熱的な演技とダンスのミュージカル方式をとっている。
うまいへた関わらず終始鳴り響く大音量の音楽のせいで無条件に極度の興奮状態に陥るわけだ。
「あっ!劇が終わったみたいですよ!」
みれば、なるほど。ジャッ・ジャッ・ジャーンと締めの音楽がなりステージに一列に並びあいさつをする役者が見えた。
「お〜し全員配置につけ〜ぇい!」
「いえっさー道場長!」
全ての劇が終了し(あえてスルー)散会の準備を始める生徒達。
俺は物置、あるスイッチの前に立つわこ助に、合図をだした。
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『ガコン』
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鈍い音が鳴り響いたその瞬間……講堂は闇に包まれた。
157 ルル [2007/05/12(土) 14:28:29 ID:lot]
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「っ!ひっあぁぁぁぁぁっーーーー!!!」
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いきなり上がるかんだかい叫び声。
その瞬間、連鎖反応した恐怖は全生徒に伝達した。
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実に単純なトリックだ。
熱気冷めやらぬ劇終了直後に全ての電気をきる。
カーテンから差し込むわずかな光の下、視界のはしで、ある二年生の女の子が見たものは血まみれのの幽霊だった。
起爆さえしてしまえばそれで終わりだ。なしくずし的に波紋は広がる。
五分前に〔霞夏、行きま〜〜す!!〕と言って人波に飛び込んでいった彼女が気がかりだが……
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「これは〜ちょっとやばいかもね〜」
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なりゆきを見守っていたハノがつぶやいた。
首を縦にふりわこ助もうなずく。
「事態が大きくなりすぎたんだよ……順。ばれたら大事だ」
「バレやしないだろ?モノホンの異界の者が関わってるんだからな」
この世の終わりですが何か?的な群衆はアリのように出口に向かい走り回っている。
「まあ三十六計逃げるにしかず……だな」
しかし、ステージの裏のすぐ後ろ。逃げを決め込もうとしたやさき。
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意外な人物があらわれた。
158 ルル [2007/05/12(土) 15:11:37 ID:lot]
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「い、委員長!?」
「空沢っ!?」
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そこに立っていたのは1−Cの委員長、音無響その人だった。
実行委員でもある彼女は外回りをしていたところ騒ぎを聞きつけやってきたのだろう。
「なんでここに……ってかこの騒ぎは……何?」
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(言えない…… ブレーカー落して幽霊けしかけましたなんて死んでも言えない……)
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「さ、さあな…… 劇の終わりらへんからずっとこんななんだ」
「そう…………!?」
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いきなり両目を見開いてある一点を凝視し始めた彼女。
疑問に思い視線をたどったその先には……
「えっ…… 何、あれ……亡霊?」
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時よ止まれ!!
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そこにいた人物は皆さんのご想像どうり。
いくら念じども時間は止まるどころが俺のまわりだけは走馬灯のように流れていく。
「いやっ、お前、我らが20世紀にそんな非科学的なもん居るわけないっしょ!疲れてんだよ委員長は!」
叫びつつ絶妙なさり気なさで委員長の眼前を塞ぐ。
「けどお前、あれ……」
「疲れてる疲れてない疲れるとき疲れます疲れろ!で、何?」
「こっちに近づいてきてるけど……」
「!!!」
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見ればなるほど。この未曾有の大混乱の元凶である少女は満面の笑みでこちらに‘飛んでくる’。
まずい!これからの学園生活に影が差す!
「(おいっ!ハノ、わこ助!これからどうするっ……ていねぇ!)」
いつからいなかったのか……共犯である二人はとっくに姿をくらませていた。
呪い殺してやりたくなったが今はその気持ちをぐっと押さえこんしんのジェスチャーを彼女に向けて送信開始。
頼む!理解してくれ!
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「順さ〜〜〜ん!やりました!やってやりました!作戦成功祈願成就破顔一笑極まりないです!で、こちらの方は?」
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瞬間砕け散った。
ビキリとコメカミを歪ませた後ろの女人から放たれる殺意のオーラを感じ取る寸前。俺は半透明の少女の手首をつかみ走りだす。
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「っておい!まちやがれこのバカ野郎っ!」
「はっ!まちやがれと言われてまちやがるバカがいるかバカ野郎っ!」
「んだと!?先にバカって言ったやつがバカっ……てあれ?この理論だと私がバカってことに……って!おぉい!逃・げ・ん・なーー!!」
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今だに悲鳴があがる講堂を背に俺達は脱兎のように逃げだした。
159 咲拉良 [2007/05/12(土) 20:37:25]
あげ↑
160 ルル [2007/05/14(月) 15:00:42 ID:lot]
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「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ〜ふぅ〜……」
「どうやら逃げ切ったみたいですね。目標消失確認です!」
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強制カミングアウトイベントをどうにか突破し、俺達は無人の食堂に逃げ込んでいた。
疲労困配の俺に比べて彼女が元気なのはもちろん宙に浮かんでいるからだ。
静まり返る巨大な食堂の片隅に座り込んだとたん一抹の安堵と共に浮かんできたのは「不安」この一言につきる。
「あ〜どうすっかな〜明日から……」
〔どうしたんですか?〕
それはもちろん、学校創立以来の大事件を起こした幽霊となぜ俺がお知り合いとかがうんたらかんたらのいいわけに決まっとろうが!
ちなみに「学校創立以来の〜幽霊」とはまさに今心配顔で覗き込んでいる君のことだが……
「これはもう妥協して……『劇仲間の女の子を連れ出しました。あ、俺ロリコンですから』とか言ったほうが面子は保たれるかもしれん」
〔む、私は幼女にカテゴライズされるような身体的特徴は持ってません! ほら!〕
ドーンと胸を張る少女には確かに膨らみが……無い。さしたる身長もない彼女の全体像は見事なまでに凹凸が確認できないが……いかんせん。これは言わないでおこう。彼女の名誉のために(倒置法)
生暖かい眼差しを向ける対話人が放つ達観した沈黙感に耐えられなくなったのだろう。彼女は場をつなぐように口を開いた。
〔それにしても、お二人はどこに行ってしまわれたのでしょうか?〕
「めちゃくちゃに走ってきたからなぁ……いつのまにか食堂にきちまった」
〔はぁ〜ここは食堂だったんですか!おっき〜ですね〜! けれどここ……何か見覚えがあるような……〕
ファンタスティクなまでに巨大な食の聖地を縦横無尽に飛び回る少女。
だがそうするとスカートの中身がアレしてコレしてしまうのだが俺は本物の幼女趣味に目覚めるつもりはない。
そんな葛藤との戦いのせいで彼女の様子が変わったことに気付くのが遅れた。
〔ここは……この場所は……〕
マリア像の下にたたずむ少女は背を向けているために表情は見えなかった。
だけど……手を組み小さく〔そっ、か……〕と、つぶやいたことだけは、なぜか知ることができた。
161 ルル [2007/05/14(月) 21:47:15 ID:lot]
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〔知ってますか?順さん……〕
「?」
振り返りこちらを向いた顔にはどこか淋しさを思わせる笑顔が張りついていた。
決して戻れない昔を思い出すように……
〔この食堂は、私の在学当時、礼拝堂だったんですよ〕
話は聞いたことがある。
10年前、増築にともなった改築で食堂になったらしい。
壁に沿うように並んだマリア像はその名残なのだろう。
私はみたことがないんですけどね、と彼女は続ける。
〔ある人から教えてもらったんです。礼拝の時にはここにダァー!!っと、人が並んでお祈りをしたんですよ〕
「なんだ、お前もやったのか?」
まさか、と舌をちょろっと出して笑った彼女の顔はやっぱり嬉しそうで悲しそうだった。
〔戦時の時はここに逃げ込んだ千人以上の人の命をまもったそうです。それってすごい奇跡ですよね!〕
「確かに、それくらいの人数なら楽に入るかもな〜ここは」
〔はい……〕
“ある人”にこめられた感情から特別な人なのかな?と、勝手な想像をしてみたが……それはどうやら当たりのようだ。
その人のことを話すときの彼女の顔は一際輝いて見える。
〔その人はこうも言っていました。この礼拝堂が千人の人を守ったことが奇跡なら……この屋根の下ちっぽけな人間二人が出会えたことも間違いなく奇跡だね……と〕
「ずいぶんと壮大な思考回路をお持ちの人だな。大切な……人だったのか?」
彼女は少し驚いたような仕草を見せた。〔そんなに顔にでたのかな?〕とかって考えているのかもしれない。
〔はい! とっても!! だから……早くその人と同じ場所にいこうと思ったんですけど、またいきそこなったみたいです〕
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その人と“同じ場所”それはつまり……
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〔こんな楽しい人たちと早々にさよならは無理そうです。な・の・で、あとちょっと、こっちにとどまっちゃいますよ!!〕
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刹那。差し込んだ光が窓に四角く切り取られ降り注ぐ。
淡くそよぐ風は一日の終わりを告げた。
162 回忌 [2007/05/15(火) 21:19:07]
面白いです♪
あげますね
164 ルル [2007/05/21(月) 22:19:17 ID:lot]
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四日目〆人類皆兄弟なんて妄言を俺は絶対信じない。
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ある晴れた日の放課後。ある少女はある所に存在するある部室の中である少年にひたすらに合い槌を打っていた。
「昨今。若者の活字離れが深刻化しているという話をよく聞く」
「はあ……」
大人しめの印象を抱かせる淡い緑色の髪をおさげにしている。スカートの裾が基準より少し短いのは、思春期特有の背伸びがしてみたい年頃だからだろう。
「しかし、同時に『引用問題』というものもある。これは大学生を中心にレポートの内容を全てパソコンから引用する傾向のことなのだが……この二つは明らかに矛盾すると思うんだ」
「そうなん、ですか……」
彼女の名前は雪桜院藍【セツオウインアイ】。演劇部からなぜかこの学校きってのへんてこ部に電撃移籍した物好きだ。
「引用する時点でネット上のすぐれた文章を見つけなければならないからな。加えてブログ等の普及によってむしろ活字に触れる機会は増えていると俺は思う」
「へえ〜」
そして親切にも読者の皆様にそれっぽく説明をしている俺の名前は空沢順。今頃んなこたぁいいとか言うな。
「…………」
「…………」
三秒以上の沈黙は会話の停止を意味する。知り合って間もない擬似お見合い空間を形成させないための話のネタはすでにつき、部室内は微妙な空気に包まれる。
沈黙が痛い。誰か助けてくれ。
「えっと、その……皆さん、遅いですね?」
挙げ句新人に気を使わせてしまうこの体たらく。軽く凹んでしまいそうになるがどうにか俺は重い口を開く。
「そ、そうだな。どこまで買い出しに行ったんだか……」
と姿の見えない彼女に返答を返す。向き合った机にはパソコンが置いてありお互いの姿が見えないのがせめてもの救いか。
「ですけど、そんな大量の食べ物いったいどうするんですか?保存する場所もないのに」
「ああ、それはな、え〜と……そこの壁に電卓みたいなボタンがあるだろ?そこに0105って打ってみてくれ」
「?」
不審そうなそうな顔をしつつも彼女はイスを引いて立ち上がり壁に埋め込まれたボタンを押し込む。
「えっと……0・1・0・5っと、えっ?ひゃあっ!!」
軽く悲鳴を上げてうずくまってしまう。無理もない……俺も最初はあんなだったな〜と。
「わっ!これ、冷蔵庫ですか?」
「そ。冷蔵庫なのです」
バガンと開いたその中には立派な冷蔵庫がたたずんでいた。それだけではない。ボタンの押しようによってはありとあらゆる電化製品が飛び出すだろう。
この部室はいちいちハイテクノロジックだ。
「なんで……こんな設計に?」
「完全に製作者の趣味だな。そこのクー取ってくれるか?」
165 ルル [2007/05/22(火) 19:47:59 ID:lot]
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ハノ、わこ助、返小路が買い出しにいってから三十分がたった。新しく入った二人の歓迎パーティーの買い物らしい。
二人で行く予定だったが(公正なるジャンケンの結果だ)幽霊である返小路が〔な、なんと! まさか私が学校にヒッキー決め込んでる間にここまで現代科学技術が進歩していたとわ! これはぜひとも外の世界を見に行かなくてわ、いや見ないでどうする!!〕とテンション高めについていった結果この気まずい部室が誕生した。
これ以上この沈黙に耐えられる気がしない。
気合いでなんとかなるのはある程度までだということを覚えておけ。
「それにしても……雪桜院はなんでこんな部に入ったんだ? あのまま演劇部いた方が面白そうなのに」
「え!?」
いやっ……「え!?」とか言われても。
顔を若干赤く染めてうつむいてしまった彼女を前に俺は軽い混乱に襲われた。
「あ〜……えっと別に無理に言わんでもいいわ。……うん」
「そ、そうですか? ……はい」
「…………」
「…………」
ナイス逆効果。いらぬサイドエフェクトによってさらに密度を増す。
だがそこにようやく救いの手が差し伸べられた。
166 ルル [2007/05/23(水) 00:06:24 ID:lot]
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「たっだいま〜!! お二人さん!」
ズバンと開け放たれたドアの向かいには見知った三人が立っていた。(約一名浮遊)
聞き慣れた軽い口調になさけないが本気で涙がでそうになる。
部室に入ったハノ、わこ助のすぐ後ろ。返小路はなぜか顔を真っ赤にし、口ぱくぱく足ばたばた。必死でこちらに何かを伝えようとしているが呂律が回らず一種の弊害状態になっていた。
「かっ霞夏ちゃん! どうしたんですか!?」
錯乱状態の幽霊少女は半開きになった口から〔はまっ! はまっ!〕とよく分からない音声を発していた。何か知らんがだいぶ恐い。
「いや〜ね、藍ちゃん。彼女は半世紀のジェネレーションギャップによって過去と現在を彷徨う哲学者になっているんだよ。にしても……いいもん見せてもらいやした!」
「いいもんってなんだよ……」
雪桜院の入部後。突然かつ偶発的かつ悪戯に幽霊とこんにちわしてしまった彼女の説得には思いの外骨が折れた。
そんなことがあったが今ではすっかり打ち解けて一安心だ。
何か二人合うもんがあったのかもしれない。
「そりゃあもち! リアル過去から来てテレビを見た人だよ〜 〔こんなちっちゃな箱の中に人間が!? 驚天動地の大事件ですよ〜〜!!〕だってさ! やっぱり彼女は期待を裏切らなかったよ〜」
その期待通りの人物は自らが受けた衝撃を必死に雪桜院に伝えようとしていた。だがまた合い槌モードに移行した彼女の耳にはあわあわという動揺の具現化のような言葉しか聞こえていない。それでも健気に対応するのは彼女の性格故だろう。
「ちょっと見たい気もするがな……あ〜わこ助。あれ、買ってくれたか?」
「クーだっけ? オレンジはなかったからタピオカ味買ってきたよ」
「タピオカって何!?」
「タピオカはタピオカだよ」
「タピオカ?」
「タピオカ」
「タピオカ……」
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相変わらず、このゆるい部平和だ。
167 ルル [2007/06/01(金) 20:14:32 ID:lot]
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ある晴れた日の午後。ある屋上に存在するある部屋にて、ある少年は大いに暇を持て余していた。
誘利の校舎屋上右隅にポツリと備え付けられた部屋、もしくは小屋。
そこそこ広い空間の中心には年季の入った机があり周りにはパイプイスが乱雑に転がっている。そのボロイスの一つにとある少年こと海門 梢【ミカドコズエ】はやる気なさげに座っていた。
中途半端にたった髪の毛。
中途半端に着くずした制服。
中途半端に見開かれた黒目。
だらっと背もたれに張りついた背中は90度を通り越し180度反っている。
虚ろに天井に見上げた瞳には二文字「うつ」が浮かんでいた。
圧倒的な睡眠効果をもつ春の光をたっぷり受けつつの授業を耐えぬいたのだ。それも当然といえる。
彼は口を開くのも億劫なのか、数秒口元をもごつかせた後、何もない空中になげやり気味に投げ掛けた
「だるい……」
「なにを若いもんが人生に対してなめくさった事いっとるか――!」
瞬間にバカでかい声にかき消された。
善し悪しあれど初台詞を消去された少年は微妙に残念そうな顔のまま、ドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきた人物の方向に顔を向けた。
168 ルル [2007/06/01(金) 21:04:49 ID:lot]
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そこには同じ高校の制服に身を包んだ少女が立っていた。
微妙な長さの髪を後ろでくくり作った無理矢理なポニーテイル。左右の手首には奇妙な色合いのミサンガをまいている。
ちょうど落ち始めた夕日をバックになぜか顔を真っ赤に泣き腫らした状態で。
なにかあったのだろう。今思えばさっきの言動もどこかしら八つ当りちっくだったしと、梢は考えた。
「どうした澄希? あれか? 家出か? 家出少女なのか? 大丈夫だ。今朝喧嘩別れしたお母さんもげんかんをくぐればニコニコ顔で……」
「……れた」
「ん?」
「ふられた――っ!!」
魂の叫びが響き渡る。
どうやらそのボリュームは梢の鼓膜の許容範囲外だったようだ。彼は無表情で耳を押さえる。
目の前の爆発寸前少女の名前は前原 澄希【マエハラスミキ】。充電不用にして年中無休のハイテンション保てる彼女も今回はその方向性が違うようだ。
「そんなことか。大丈夫だ。地球の半分とちょっとは男だ」
「うるっ――さいわい!! 小学校以来の壮絶な片思いの末に告白した相手に『ごめん、俺……三次元に興味ないんだ』って! 言われた奴の気持ちが分かるか――!」
と、オタク世界に彼を奪われた澄希は腕を振り回して暴れだす。蹴り上げられたパイプイスは空中で分解されただの廃材と成り果てた。備品がどんどん減っていく。
「まあ、ご愁傷さまとしか言いようがないが……たとえその彼がAボーイじゃなくてもダメだったと思うけどな」
「なぜにさ……?」
梢はそんなこともわからんのか的な目をしたまま答え
「それはやはり性格上の問題が……」
ないうちにパイプイスの足が飛んできた。
的確に頭狙ってくる足を器用に避けながらさらに追い打ちをかける。
「まあ仮にお前がギャルゲーに出てきたとしても俺は絶対に“澄希ルート”には進まんということだ」
「はっ! 甘い甘い。幼馴染みって自転ですでにフラグは立っているのよ! あんたに攻略できるほどやさしくはないけどね!」
「たとえお前以外のルートがなかったとしても裏の義妹ルートを突き進んでやるよ」
飛んでくる雑音を意識外にシャットアウトして向けた窓の外。
夕日は完全に沈み切っていた。
169 回忌 [2007/06/02(土) 20:03:49]
あげますね
170 ルル [2007/07/19(木) 22:00:57 ID:lot]
え〜と今までケータイ壊れてて書き込めませんでした(T_T)
今は従兄のとこのパソコンから書いてます。
夏休みの間には機種変スルと思うんで……
171 玖有 [2007/07/19(木) 23:47:02]
上がってる(ノ*´∀)ノ
と思ッてきたら...
そンなコトにorz
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卒じゃなくて
本とに良かッた
嬉しいよ(´`●)
172 咲拉良 [2007/07/21(土) 12:59:32]
復活あげ
174 エネルギーを蓄えに来ましたよ宇宙人 [2007/07/28(土) 06:44:16]
お初です。
読みたいのにまだ読み終わってません。
明日中に読み終わってやろうと意気満々です。
楽しみにしてます。
頑張ってください。
175 旅人 [2007/07/28(土) 20:41:37]
あげ。
面白いので頑張ってください!
176 ルル [2007/07/28(土) 23:16:23 ID:lot]
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少年達がこんな場所に集まっているのには曲がりなりにも理由があった。
それはこの学校に入学当初、前原、海門両家の親戚である浅神家からの一本の電話が原因だった。
その電話の主は二人に間延びした声でこういったという。
「暇つぶしに付き合ってくんない?」
そね原因の一端というが全端はもちろんその電話の直前に設立された“ある部活”が関係していることはいうまでもないことだが……
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Shift
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「夏祭り?」
今日も今日とて足遅に歩き去っていた夏の片鱗を感じ取っていたある晴れた昼下がり。我らが部長は何の前触れもなく夏の風物詩への参加を表明しだした。
俺としてはこんな連日凶器と化した日光さんさんと降り注ぐ戦場へと繰り出すのは甚だ勘弁したいところなのだが……きっとそんな一個人の願望とか切実な願いとかは一泊の間も置かずにダストボックスに瞬間転移してしまうものなのだ。
「That right! その通り! 今日霞夏ちゃん達と電気屋行ったときにこのチラシをもらったんだよ!」
見ればなるほど典型的なB4サイズ用紙にプリントされているのは確かに祭り色。しかしながら……
「早いだろ、いくらなんでも」
177 ルル [2007/07/28(土) 23:45:29 ID:lot]
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そう。うくら暑い暑いと唸ったところで今は所詮七月初期。あと一ヵ月もすればこの数倍の熱に喘ぐことになる。よってまだそんな浴衣着て花火を見るなんて夏真っ盛りなことをする季節でないことは周知の事実だった。
「甘い! 甘いよ順君! これは来るサマーバケーションに向けての予行練習! 片抜き制覇は当たり前! 射的上等何でも御座れ! つまりは――――」
「とりあえず騒ぎたいんだね」
「いえすあいどぅーーーーーー!!」
ハノ、わこ助のそんな漫才を皮切りに部室はお祭りモードに包まれる。とりあえずは雰囲気に乗ろうとしたのか返小路もその輪にどわ〜〜〜〜と混ざっていく。と、その光景を微妙だが楽しそうに見つめる雪桜院。
まだぎこちないが……そうだな。きっかけがあればなんとかなりそうだ。
あいつもそんなことを考えたのでは? などと刹那考えてみたが、否。そんなことは一切ないだろう。まあ自覚がなくてもこの際何も言わないさ。
客観的にも主観的にもやっぱり大勢でわいわいするのは何だかんだで楽しいものだ。
178 ルル [2007/07/31(火) 22:11:12 ID:lot]
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時はすでに夕刻。すなわちそれは下校の時刻なのであった、まる。
などとかしこまって言う必要もなく今はお帰りのシーズン。
カエルもカエルで夏の総攻撃に決して負けることなくゲコゲコ鳴く健気な姿にほろりと涙を流しながら俺は身仕度を始めていた。
猛暑の名に恥じる事無くしぶとく地表に残っていた熱気もすっかり息を潜め、明日どうやって多くの生徒を熱中症で病院に叩き送るかを相談しているのではないかと本気で思う。
さて、いつもならここで部室に残るリアル幽霊部員にわかれをつげ、
愁傷に部室前まで迎えにくる車に乗り込む雪桜院に手を振り、
校門で正反対の帰路に着くわこ助を見送り、
一人淋しく帰路に着くのが常だった俺だが、今日は少し違っていた。それは……
「今年は〜セミが多いね〜」
冒頭から約三○分後。俺の目の前には真っ青な髪がひょこひょこ揺れていた。 「なんか周期があるっぽいぞ。なんでも、数年おき奇数年に大量発生するんだと」
「ほぇ〜セミも大変だね〜」
俺は普段やることがなくなればさっさと席を立つ。だけどこいつはいつも最後までピコピコやっているせいで帰りが一緒になるのはこれが初めてだ。別段それがどうしたというわけではなく、「んじゃ、帰ろっか」「ん」と済し崩しに決定し今に至る。
「別に大変とかじゃないだろ? 示し合わせるわけでもないし、自然現象だ」
「わかってないね〜順君。これは年々迷走を続ける人間へのサインなんだよ! セミからの」
自然とかじゃないのか。
「どんな?」
「ん、え〜とーーーー……掻き揚げて食べてください?」
パンという乾いた音が辺りに響く。ハリセンが不届き者を殴打した音だ。
「鳴いてセミに謝れ! セミだけに!」
「う〜ぶたれた〜しかもなんか文体でしかわかんないようなギャグを言われた〜」
ほっとけ。セミの大群を鍋に放り込んで食らうくらいなら行きずりのオバサンに「I simply want to watch over you」とでも紡ぐほうがまだましだ。
というかなぜ理解できた。
さっきの言葉にかちんときたのか、それともただ退屈なのか、呆れ顔で歩く俺の足を必死で掛けようとする小動物を無視しつつ歩道を歩く。
こんな時間でも生徒の姿をちらほら見るが、いかんせん、どういうわけかそいつらはみんな男女ペア。受験効果か修学旅行効果かは知らないがな。
「順君順君」
「ん〜?」
「これはもしや……あべっく?」
足掛けにすら飽きたのかわくわく顔でそんなことを聞いてくる小動物。
まあ普通ならそうなのだがこの場合は……
「そうだな、一人と一匹じゃなければ」
行った瞬間飛んできたハリセンの速度は尋常ではなかった。
179 ルル [2007/08/03(金) 16:31:52 ID:lot]
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などと漫才をしつつも帰りの所要時間が変化するわけでもなく、あっと言う間に家の前。
通常ならここから飯・風呂、寝のめくるめく三連コンボが炸裂するはずだったのだが、どうやら今日はとことんイレギュラーに撤したいらしい。
そう。俺は帰宅の瞬間意外なお隣さんの存在に気付くことになった。
冒頭から一時間後。俺の目の前には真っ青な髪がひょこひょこ揺れていた。
「何で今まで気付かなかったんだかな〜」
後想像通り、我が家がいえの右隣。そのお宅の標識は某四コマ漫画と見事に一致していた。
鰹もサザエも採り放題だ。
ほぼ同時に自宅の扉を開けた二つの視線は見事に交差。たっぷり二秒間硬直した後……ずかずかと侵入今に至る。
「私は朝早いからね〜爽快wake upハノとは私のことなのさ」
「の割りには遅刻多いよな、お前は」
「ぐ、しょうがないんだよそれは。どんなに早く出てもカバンが遅刻するから」
「とんでもない責任転換だな」
その会話のうちにも色とりどりの料理が所狭しと並べられていく。現状に不満があるわけではないが、親の帰りの不定期さ故にコンビニ特産物が蓄積されたマイストマックには本当にありがたい。
「しかし、悪いな。飯作ってもらって」
「気にしない気にしない! うちも親海外で一人だしね。デザイナーとやらも結構大変だの〜」
おしゃべりが途切れた記憶はないはずだがいつのまにか机の上は料理で埋まっていた。
前々から何でも器用にこなす奴だとは思っていたが、料理のスキルまであるとは。これからは男も家事をする時代だというのに。
家庭の事情もそうだがいつも一緒にいるくせに解らんことも色々あるもんだ。こいつも、他の奴も。
返小路なんか存在もいまいちわかってないしな。
今度親睦ついでに映画にでも誘ってみるか。今度な。
「しかしながら……」
「はにゃ?」
うちのテーブルは約一m四方。それが一杯になるということは……
「多くないかこれ?」
「…………………………………………………………ちゃは☆」
チャラにはならんぞ。決して。
180 ルル [2007/08/03(金) 16:44:51 ID:lot]
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その夜、膨大な量の食料を胃に詰め込んだ結果人間の機関には皆平等に限界があることを痛感し、万人の味方であるタッパ将軍の御力をお借りしなんとか自体の鎮静化に成功した。
個人的にはその広い懐に数多のシチューを内包してくれたタッパ将軍にはなんかの勲章を贈呈したい気分だ。
他愛のない会話をしながら帰っていったハノにもらったチラシには「州芹祭り」となにやら楽しげな文体が踊っていたがすぐ下に写っているマスコットには正直キモグロイとしか感想を抱けないことは少なからず問題だと俺は思う。
その後日にいく予定の夏祭りだが、まさかあんなことになるとは夢にも思っていなかった。と、お決まりの台詞を言っておこう。
別に余裕なわけじゃない。俺は定石が好きなんだ。
そんなこんなの心の葛藤の後、夏祭り当日。
181 咲拉良 [2007/08/05(日) 14:23:54]
揚げ
182 咲拉良 [2007/08/09(木) 16:25:07]
挙げ
183 回忌 [2007/08/16(木) 14:50:27]
おもしろいです!
上げますね。
184 咲拉等 [2007/09/06(木) 21:29:28]
あげ